「腹が減っては戦ができぬ」(相田マナ)

 ドキドキ!プリキュア第31話「大貝町大ピンチ!誕生!ラブリーパッド」の感想です。
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 今回の見所ベスト1。


第1位:リンクによるリソースの追加

 前回、ドキドキ!プリキュアという作品で描こうとしてる中核の一つはリンクによって伝導するリソースの追加・調整だろうという文章を書いたのですが、それに沿うようなエピソードだったと思いました。

 最後にグーラさんとリーヴァさんからジャネジーを奪い取るベールさんというように、敵側が相変わらずゼロサムゲームの中での収奪競争をやってるのに対して(キングジコチュー様の目的も宇宙中のジャネジーの収奪)、プリキュアさんは、リンクを繋いで、リソースを追加するということをやってのける、という対照なのかと。新必殺技ラブリーストレートフラッシュの「私たちの力をキュアハートの元へ」の台詞は象徴的だと思いましたよ。幸福の王子相田マナ一人ではどうしようもない局面に現実の厳しさは入っているけれど、リンクを伝導してリソースが追加されるという。だったら、まだ立ち向かえる。

 で、前述の記事で書いた通り、共時的な仲間のリンクからリソースが追加されるだけじゃなくて、通時的、歴史的なリンクからもリソースが追加されるのね。ラブリーパッド、鏡(一昔前の変身ヒロインものの変身アイテム)かと思ってたら、iPadに! は熱いですよ。鏡だと自分の姿を映すだけだけど、iPadは通信ができますからね。通信でリソースが追加できる。1万年前からのリンク、前回で描かれた「諦めない」を胸に、ハートがプリキュア5つの誓いに6つ目を勝手に追加。「一つ、みんなで力を合わせれば不可能はない」。序盤で万能人だけに一人でなんでもできてしまう様が描かれていた相田マナさんが語る、みんなで力を合わせる、というリンクによるリソースの拡充という宣言。熱い。一人の英雄的な人とか、幸福の王子が全部なんとかしてくれる時代は終わった。これからは、リンクによってリソースの追加と調整を行う。そこに知的資源を投入するんだ。iPadでもなんでも、通信機器とかどんどん使って。過去のリソースとかどんどん参戦してもらえればいい。鏡は壊れた。確かに、昔の作品は荒もあるかもしれない。でも、そこに詰まってる想いは本物だ。壊れてたって、メランの想いが込められた宝物だよ!

 前話、今話で印象的に挿入されてるのは食事のシーンですが(カレーとかオムライスとか)、食事自体がリソースの補充であり、また、今回その食の場を共有していたメンバーが、セバスチャンとか亜久里祖母とかまで入っていて、プリキュアだけにとどまらないリンクの象徴であったと思いました。それを、守る、という今話の戦い。

 次回が、マナさんが倒れて活動不能になる疑似幸福の王子バッドエンド(一人で自身をすり減らして助けに回って、本人は溶鉱炉行き)のお話っぽいので、いよいよそのバッドエンドを書き換えて、リンクによるリソースの拡充・調整による真エンディングへって感じでしょうか。

 個人的にも感慨深い展開。僕の場合とか、介護生活してますけど、一人の介護者の頑張りでどうこうなるフェーズは時代的にもうそれだけじゃダメだと思ってるんですよ、iPad使って時々遠方の姉に見守り担当してもらうとか、取るべき作戦は本当リソースの追加と調整だと思っております。

 また、今話はリンク自体が強固になるのも描かれていていい。序盤で、トランプ王国を助けるとマナは真琴の手をとった(リンクした)、でもそれはまだ自分自身の当事者意識が薄いリンクだった。iPadは便利だけど、当事者意識までは持てないファッションリンクになりがちかもしれない。そこを、過酷なあの場所と、自分が生きている現実、場が繋がった、リンクしてる場所なんだという意識に到達した所で、いよいよiPad登場。この流れやよし。

 現実でも、例えば過去とのリンクとリソースの追加を胸に、もうセーラームーンとかあの辺りとか、どんどん海外ともリンクして外貨稼いでいきたい。

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→前回:プリキュア雑記(2013年9月5日/テーマが光り始めるこの時期)
→前回:ドキドキ!プリキュア第30話「最後の試練!伝説のプリキュア!」感想へ
→次回:ドキドキ!プリキュア第32話「マナ倒れる!嵐の文化祭」の感想へ
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