「それは彼女がイヤイヤ期に入ったからです」(アン王女)

 ドキドキ!プリキュア第35話「いやいやアイちゃん!歯みがき大作戦!」の感想です。
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 今回の見所ベスト1。


第1位:ジコチューと愛のシーソーゲーム

 ここ数話で作品の核心的に描かれ始めてきた、幸福の王子から愛が伝導して街の人達が立ち上がってくれたなら……理論に基づき、絶賛「愛が伝わる」というエピソードが展開中。


 幸福の王子→街の人達→次の誰か
 親→子→その子や次の誰か


 このリンクを伝う伝導が愛でかつ双方向だと世の中はどんどん良い感じになっていき、ジコチューやディスコミュニケーションだと、どんどんジコチュー的世界(『幸福の王子』バッドエンド的なもの)になっていく、という構図。それらの分岐がアイちゃんがジコチュー的な子になるか愛が溢れる子になるかに象徴されている、というような作中解説。

 で、今回は焦点があたってるのは真琴で、愛で「君(歯医者さんなど)を信じる。」(OP歌詞の解釈の話)側にいって虫歯を治せばハッピーエンドルートに入り、ジコチュー的赤ちゃんの我がまま的に歯医者さん嫌! と駄々をこねていればバッドエンドルートに入る、と、そんな構図の1話だったと解釈。

 そして、これ、今回は上述の愛の伝導ルート、


 亜久里(と重なったアン王女)→真琴


 の順だったんですよね。アン王女と重なった亜久里(キュアエース)の言葉で真琴が奮起(虫歯治す!)、ちゃんと次のヒーローとして立ち上がった、と。で、立ち上がった人は愛を伝える側になる資格を有するのが『幸福の王子』ハッピーエンド理論なので、真琴は疑似母になる資格を有し、


 母的な存在としての真琴→アイちゃん


 への愛の伝導も……というシーンで終幕。そこからアイちゃんがジコチュー化をディフェンスしていく訳なので(アイちゃんからもまた愛を守る連鎖が繋がっていく)、まさにリンクによる愛の伝導でハッピーな未来へという『幸福の王子』ハッピーエンド理論。

 ただ視聴者的に気になるのは、前々回がありすパパとありすの話、前回が六花母と六花の話、そして今回と、「親と子」の話が続いてる流れで、ようやっとアン王女とキュアエースが外見が似てる点に伏線的なものが入ってるのですよね。ストレートにアン王女が何かしら亜久里の母的な存在だったりするのだろうか。

 アン王女自体が、色々なものに興味を分散させて一つを選べない、他者愛で一度バッドエンドに(真琴の手を自ら放すシーン)と、疑似幸福の王子的に、マナさんと重なるように描かれてる存在なんですよね。そんな彼女が、まだ水晶の中から一方向的なメッセージしか出せないと、ディスコミュニケーションの方向で、まだ「バッドエンド幸福の王子(一方的な愛の散布で、街の人達に届いていない、リプライがない)」状態。だから、アン王女のリンクが回復した時こそ、疑似的にバッドエンド幸福の王子と紙一重のマナさんも救われる……っていう物語構造だと思ってるのですが、これは、アン王女と疎通する瞬間が描かれるであろう終盤は楽しみだな……。あの時離されてしまった手を、もう一度繋ごう、リンクを修復しようっていう物語でもあると思うので。

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→次回:ドキドキ!プリキュア第36話「ラケルはりきる!初恋パワー全開!」の感想へ
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