「やっぱり歌は危険だわ」(レジーナ)

 ドキドキ!プリキュア第40話「とどけたい思い!まこぴー新曲発表!」の感想です。
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 映画は初日に観てきて感想もアップ済みですが、今週までは感想記事中で映画の「コアな」ネタバレはなしの方向で(軽くは触れちゃいますが)。その後は普通に言及していきます。

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 今回の見所ベスト1。


第1位:歌という武装

 幸せの王子の愛はレジーナのような境遇の子にも伝わるのか、という終盤の山場と思われる物語。マナさんだけじゃなくて、プリキュアメンバー一人一人が伝えていく構成となる模様。メインのレジーナにだけではなく、中盤では今一つ愛が伝わってなかった感があるサブキャラクター達、今話の真琴と同事務所のアイドルの子とか、次回だと五星麗奈さんとか、そういう存在にも、根気強く何かを構築し続けてた結果、何かが伝わっているとそこはかとなく描いているのに、作品の隅々まで「行き渡って」いる感を感じます。

 というわけで、真琴さんはアイドルなので、伝えるのなら「歌」。

 今回はエラく涙腺にくる展開でありました。ミラクルドラゴングレイブという作中で最新の強大な武力をふるうレジーナに対して、もはや時間の流れ的には型落ち玩具のラブリーインカムのみを装着し、歌という武装のみで行進する真琴さん。王女様のために歌ってたけど、それが決定打で王女様が見つかったとは言えない。めくるめく消費文明、新しい玩具は生産され続け、ラブリーインカムはもう使われてないかもしれない。しかし、そんな時間も無駄だったとは言いたくない。散々綺麗事と言われようとも、できるなら武力じゃなくて表現とかで戦いたい。それが強いと信じたい、という日本アニメーションの哲学のようなものを感じる展開。何かが欠落してるために武力に訴えるしかないレジーナのミラクルドラゴングレイブをかわして握りしめ、そのままノーバンク変身、レジーナの頬に手をあててただ歌で愛を伝え続ける真琴……とかボロ泣きであった。ミラクルドラゴングレイブVSラブリーインカムとか、どう考えてもラブリーインカムに勝ち目ないのだけど、そうじゃないんだ、闘争の力ではなく、時に文化の力とか、精神性の力とか、作中で求道してるものとしては「愛」の力は強いんだというのは熱い展開。型落ちのラブリーインカムでも、そこに歌の力がのっている。

 そして、過去から伝導されたものを継ぎ、未来を開く、未来に伝えていくという改めて映画にて明らかになった作品主題。最新玩具のハープも登場。iPadとハープが合体するとか良く考えたな……(どちらも「伝える」能力を持つ道具で、最新と昔、という感じ。そして、そういう媒体が変わっても継承され続ける「歌」の普遍性。)。

 ドキドキ!プリキュアは、過去からの伝導から未来へという主題上、過去のプリキュアシリーズの色んな要素を組み込んで表現してるというドキドキ!はプリキュアディケイド仮説。要所でくると思い続けていたフレッシュがそろそろ来てると感じます。今話から登場のエンジェルの羽しかり、映画の名前の話しかり、非武装で愛を伝導するのみが最後の武装という『映画フレッシュプリキュア!おもちゃの国は秘密がいっぱい!?(感想)』ラストのキュアエンジェルピーチの思想しかり。

 ギミック面のみならず、物語やテーマとしても10年間の最前線と収斂を観せてもらってるようで感無量状態なのでした。

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→映画を観てきた感想はこちら:『映画ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス!』の感想へ(ネタバレ注意)

→前回:ドキドキ!プリキュア第39話「会いに来たよ!レジーナふたたび!」感想へ
→次回:ドキドキ!プリキュア第41話「ありすの夢!花がつないだともだち」の感想へ
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