ハピネスチャージプリキュア!第2話「ひめとめぐみの友情!ハピネスチャージプリキュア結成!!」の感想です。
今回の見所ベスト3。
第3位:状況が厳しい
初戦、プリキュアになってみたものの、プリキュア二人VSサイアーク一体(ナマケルダさんは見てるだけなので)の状況でも苦戦し、閉じ込められた女の子を救出できないまま撤退。戦力的に、物語冒頭から劣勢なのが大変です。初戦でドリームアタック決めたドリームとか、初戦で敵幹部二人と互角の格闘演じたハートとか、凄かったんだな……。
「知ってる。ニュースで観た」(愛乃めぐみ)
暮らしている身近な街まで既に戦時下なのも大変ですし、世界の方も、ガチで火の手が上がっていたりと大変です。ドキドキ! の「トランプ王国」は、物語の最初では「悲しい事が起こった遠い場所」という描き方から始まって、主には第31話(感想)で、マナさんが実感として、あの悲しい出来事が起こった場所も、私たちがいるこの街も繋がっているんだ、悲しい出来事は他人事じゃないんだということを直覚する。そういう経緯の後で最終話(感想)では人間世界とトランプ王国がそれこそ物理的にも実感的にもリンクして交易が始まる……という所で終劇する作品でした。
その流れで、とりあえずドキドキ! は経由した後のような世界観です。悲しい事が起こってる世界各地、悲しい事が起こったひめの王国、浸食されている私が暮らすこの街、危機的な状況はかなり実感としてリンクしている。練馬区も(え)、世界の紛争地域も、ネットに交通手段の発達にというご時世、リンクしている。
また、世界の方も危機的ですが、個人の内面の方も危機的です。今話も、ヒメルダのネガティブ発言連発。
「もうダメなのよ、いくら頑張ったって」(白雪ひめ)
「いったい私はどうすればイイの?」(白雪ひめ)
紛争とか、経済危機とかそういう方向での世界の危機もヤバいですが、個人の内面の危機もヤバい世情です。よく引き合いに出される年間自殺者3万人のデータを筆頭に、普通に暮らしていても精神的にまいってる人と普通に出会うような昨今です。
そして、
「プリキュアだからって、何でもできるわけじゃないの」(白雪ひめ)
も、重い。
最近のシリーズでは、「プリキュア」=「ヒーロー的な人」くらいの比喩で描かれておりますが、アイドルでもスポーツ選手でも、身近な仕事のできる人でもなんでもいいのですが、そういう人だって、本人としてはいっぱいいっぱいなのです。そういうプリキュア的な凄い人なんだから何でも余裕でできるんでしょ、なんて思われても困る。
第2位:捉え方で変わる
10周年作品ということもあり、各所に色々なシリーズのモチーフが見られるという話、『スイートプリキュア♪』(感想)編でしょうか。
主観側の物の見方によって、善悪とか幸不幸とか、捉え方が変わってくる。それがやっかいでもあり、救いでもある。
ネガティブ発言に対して、めぐみさんが、でも捉え方を変えればこうも見える、という趣旨のことを語るシーンが沢山。
ひめの欠点を列挙するリボン→そんなに心配してくれるリボンがいるのはひめは幸せ
逃げ足だけは速いひめ→足が速いのはイイこと
負け続けていて一度も勝ったことがない→ダメでも何度でもチャレンジしたのはエライ
物量増やす的な方向でハピネスを増やすのも大事なのかもしれないけれど、個人個人の内面の不幸を捉え方でハピネスに変換できたら、というのも、一つのハピネスチャージの手法なのやもしれない。
第1位:ハピネスチャージプリキュア
プリキュアシリーズの歴史の中で印象に残ってる事柄に、『ふたりはプリキュアSplash☆Star』が始まった時に、うちやえゆかさんが歌う、
「あなたが大好き!」って 誰かが思ってる「大切だよ!」ってneed you! かみしめ生きてるよ
という歌詞が流れてきた、聴こえてきた、ということがあります。
雪城ほのか(MaxHeart最終回冒頭の、両親が飛行機に乗って行ってしまったシーンは何度思い出しても切ない)、美翔さん(絵の世界に一人で没頭していた辺りのくだりね)、水無月先輩、せつなさん、月影ゆり、初期の響さん、幼少期のみゆきさん、初期の真琴や亜久里……と、何らかの孤独を抱えた女の子の救済……というのを、ずっと追ってきてるのもプリキュアシリーズだと思うのですが、上の歌詞のような、誰か承認してくれる人がきっと一人くらいいるよ、というのは、心の救済の上で一つの真実性を持っていると思うのです。
そういう、昔の作品の文脈にしみじみしつつ、
「私がいなきゃダメ?」(白雪ひめ)
「ダメダメ、ひめがいないなんて、あり得ないよ」(愛乃めぐみ)
「しょうがないなぁ」(白雪ひめ)
のやりとりを経て、ひめ、もう一度やってみることに。誰か必要としてくれる人がいる。一人くらい大切だと思ってくれている人がいる、というのは幸せなこと。
そんな感じでめぐみさんからひめにもハピネスがチャージされたし、大森ゆうこさんから飴も貰って、微細ながらハピネスというか糖分も注入されたし、もう一度やってみる。
一方、めぐみさんは、自身のプリキュアとしての理想像をこう語ります。
「こうしてると手がポカポカして幸せな気持ちになるでしょ。こんな風に皆に幸せを配りたい。あたし、そういうプリキュアになりたいんだ」(愛乃めぐみ)
「幸せを配る」と言っている辺り、ドキドキ!プリキュアの「幸せの王子と街の人達」モチーフ的に、今は立ち上がったばかりの街の人だけど、いずれ次の「幸せの王子」になりたい、ということを言っている。これは、「幸せの王子」オブ「幸せの王子」たる相田マナさんと、立ち上がり始めた街の人ポジションのめぐみさんが邂逅する3月の映画、『プリキュアオールスターズNS3 永遠のともだち(公式サイト)』はめちゃめちゃ楽しみです。
そして、立ち上がったばかりの半分街の人的なプリキュアだけど、クイーンミラージュ様も警戒する謎のビッグな愛を素質として秘めているめぐみさん。対するナマケルダさん曰くは、「不幸はジワジワ」広がるし、「この街はいずれカビだらけ」。
ドキドキ!の「愛」と「自己中」の、表裏一体でありながらの伝導ゲームのごとく、街や世界が不幸やカビで染まるか、愛や幸せに包まれるかは、伝導の度合いによる。そこに注入されるリソースの量と質による、がごとくの世界観。スペックは現時点ではともかく、言動がなにやら体育会系というか男前というか、何かスゲえ感があるめぐみさん。世界がカビ化する前に、とりあえずひめさんにハピネスの注入成功。ドキドキ! 理論に従えば、リソースが一人追加された。次回は、誠司君もさっそく民間人なりに空手でチョイアークと戦う模様(民間人のプチヒーローというリソースも追加)。この、押し切られる前にチャージ(注入)して押し返せ感はけっこう熱いぞ……。
◇◇◇
話題のプリキュア10周年歴代プリキュアさん企画。今回は夢原さん。いきなりのエース投入にプリキュアファンたちが色めきたちます。僕も、一時夢原さん夢原さん言っていた時がありましてね。今でもS.Hフィギュアーツキュアドリームとか、棚に飾ってありますしね。当時は夢原さんを追ってる人くらいに思われていたかもしれないですね……(遠い目をしながら)。
『明日のナージャ』から逆襲を開始した『ふたりはプリキュア』も凄かったのですが、『ふたりはプリキュアSplash☆Star』から逆襲(主に売り上げ面とかの話ね)を開始した、『Yes!プリキュア5』が始まった時のあの高揚は忘れない。二年企画だったS☆Sが実質1年で終わらせざるを得なかった。世も失われた20年まっただ中の大不況。そんな中でいきなり工藤真由さんの「1,2,3,4,プリキュア、5!」の主題歌が流れ出し、オープニング映像で、うららがなんだかラーメンバカ食い。なんだ? 何が始まったんだ? と思ってるうちに、ピンキーキャッチュがバカ売れで、世間では品薄、ネットでプレミア化、みたいなことになってきて……。そのまま2年目、オールスターズへ……という、逆襲から現在のプリキュアシリーズコンテンツの土台をつくるに至った『Yes!プリキュア5』にして、その象徴の夢原さんです。『GoGo!』の劇場版『お菓子の国のハッピーバースディ』の、ドリームコールの所は凄いよ。夢原さんなら何とかしてくれる、後は頼んだ! 的な。
この逆襲劇をリアルタイムで目撃してるので、「どんな逆境でもスーパーコンテンツを作って逆襲はあり得る」を、今でも心の奥で信じてる自分がいます。
『ハピネスチャージプリキュア!』の世界観的にも、世相的にも逆境モード。ゆえに、美墨さん夢原さんの逆襲のエース二連発は、何かカッコ良かったのです。
→上北ふたご先生版『ドキドキ!プリキュア』コミックスが予約開始
→プリキュア10周年公式アニバーサリーブックが予約受付中
→前回:ハピネスチャージプリキュア!第1話「愛が大好き!キュアラブリー誕生!」感想へ
→次回:ハピネスチャージプリキュア!第3話「秘密がばれちゃった!?プリキュアの正体は絶対秘密!!」の感想へ
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