「相手になってやるぜ」(相楽誠司)

 ハピネスチャージプリキュア!第3話「秘密がばれちゃった!?プリキュアの正体は絶対秘密!!」の感想です。
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 今回の見所ベスト3。


第3位:チェリーフラメンコモード




 ファッション要素も押せ押せな今シリーズ。最前線の3DCG技術により、戦闘中のフォーム換装表現が可能なものになりました。こう、10年前の妄想・想像・イメージを、その後の技術の積み重ねが現実可能化していく感じは熱い。チェリーフラメンコ、フラメンコ、10年前、そう、『明日のナージャ』!(MMRのキバヤシさんみたいな顔で)。

 困難な現在の現実にあたり、「過去からのリソースの追加」で対抗していこうというテーマは、冒頭の10周年歴代プリキュア企画などを見ても『ドキドキ!プリキュア』から継いでいると思われ。だとしたら、あの昔日に(主に売り上げ的に)敗北したナージャさんのフラメンコドレスも、現在の何かに生かされていると信じたい。やっぱり、フラメンコ踊ってみたもののホセが死んじゃうのとかが暗かったと思うんだ(え)。ナージャがいきなり牛に襲われたりする辺りとか熱かったんだけど(え)。

 東映アニメーションギャラリーの隅にある伝説のナージャコーナーにはTJさんRubyGillisさんと足を運んだことがありますが、あの今ではギャラリーの片隅の想像力になった断片が、最新のアニメ作品を贈るのに力を貸してくれてたりするんだと信じたい。全てをなかったことにするには、投入された情熱や理想が大きすぎた、ということはその他の事象にもよくあります。

 他、プリチェンミラーで衣服が変われるので、色々とファッション押し。ファッション押し作品だからこそ、あえてパジャマというめぐみさんに、「パジャマ姿には定評があるプリキュア」として桃園さんと仲良くなってほしい。あの昔日実現しなかった映画でのパジャマパーティーシーンを、是非今作では実現してほしい。


第2位:民間人


 敵に街が既に侵攻されてる点でも厳しいけれど、そこはかとなく、そういうことがなくても民間人が普通に人生を生きてるのが既に厳しい、というのが描かれる。

 めぐみさんのお母さんはやはりちょっと病弱なのか何かなのだろう。お父さんは出張中だけれど、望んだ選択の結果そうしているとは思えなくて、生活を維持するために愛する二人と離れている心中は察するものがあります。

 相楽家の方もお母さんが長距離運転手か何かのようで、物理的に離れて暮らしている。キュアLINEで簡易に繋がれる、ということが最新の事象として描かれていく一方で、逆に遠景には「物理的には離れている」というのが意識されるようなシーンが所々に描かれています。

 「距離」は作品内で重要な要素な感じで、


 「うん、テレビで見たから」(愛乃めぐみ)


 の「テレビで見た場所」の意味合いが第1話と変わってるのも上手い。第1話冒頭時点ではテレビに映ってるのは「あちら」側のニュアンスがまだ強かったけれど、今話時点では、テレビで話題になってるのは、「ここ」にいるむしろ自分。全人類メディア時代的な、自分が「あちら」を見てる一方で、「ここ」にいる自分も誰かに見られている、という状況。そういう流れで、遠い「あちら」のトランプ王国と「こちら」側のこの街、という所から物語が始まって、最終的には両方が当事者的になって交易が始まる『ドキドキ!プリキュア』は経由した上での作品という感じ。

 そんな訳で、「こちら」のこの街と「あちら」の遠い場所の悲しい出来事、と分かりやすくは分けられないご時世、


 「他人事じゃない」(相楽誠司)


 ということが描かれる。

 直前の「まきこんじゃってゴメン」「それは違うだろ」のやり取りはイイな。『ドキドキ!』で言うなら、第2話(感想)でマナさんが六花の手を求めたのが、最初の分岐点、という例の話です。一人の「幸せの王子」(プリキュア的な人、ヒーロー的な人)が、遠くの場所で頑張ってるだけ、というフェーズじゃない。

 この誠司くん(民間人。「幸せの王子と街の人」モチーフ的には立ち上がり始めた「街の人」)の当事者意識が、


 遠くで戦ってるプリキュア
 遠くで仕事してる民間人(めぐみのお父さんや誠司のお母さん)


 を重ねさせます。

 お父さんも、戦ってるでしょ。

 思うに、「プリキュア」の呼称が及ぶ範囲を広げる、みたいな流れなのかなと。ラストの「プリキュア内」の言葉には、誠司くんも入ってる勢いでしたし。特定のヒーローを指す語から、ある条件を備えた「徒党」「関係性」を指す語へ、そんな感じ。


第1位:プリキュア内恋愛禁止


 「恋愛禁止だ」(ブルー様)

 ブルー様真顔です。一寸の隙もない真顔です。これはツボに入りました。

 プリキュア的な人、ヒーロー的な人、というのにやっぱり「アイドル」が入るご時世なので、AKB48は意識させられるようになってるのかな、と。そういう「掟」がそれっぽいって喜んでるまだファッションヒーローな感じのめぐみさんではあるのだけど、逆に言えば、ただの街の人から始まっためぐみさんが、プリキュア的な人、アイドル的な人になっていくという、やっぱり「民間人のプリキュア化」(この言葉凄いな)の流れです。『フレッシュ』の桃園さんの頃から扱い始めていたテーマなのですけどね。舞台の上のアイドル的な人をただ見上げてるだけじゃなくて、自分が自分のステージに立つんだ、ということ。

 また、恋愛禁止は愛のプリキュア的には「制約」みたいな感じで、中二病的カッコ良さの方向で熱い。やっぱり愛を知った時に本当のヒーローに覚醒するのかのう。熱いのう。

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 話題のプリキュア10周年歴代プリキュアさん企画。今回はパッションさん。これはもう、『フレッシュプリキュア!』の第24話の当時の感想にリンクを張っておくしかない。東せつな、キュアパッションに変身回ね。

 今話がチェリーフラメンコで「パッション」推しだったから、というだけじゃなくて、やっぱり「幸せ」のプリキュアだから、あと、「母親探し」のテーマ上(たぶん『ハピネスチャージプリキュア!』には、白雪ひめと母親の物語が縦軸にある。)、重要度的に三番手を任された印象。このコーナーに出てくるプリキュアさん、まったくランダムって訳じゃなくて、ある程度その回のテーマとかモチーフと、かぶせられるならかぶせてきそうですかね。

 『フレッシュ』はもう好き過ぎてね。第24話以降は、せつなさんがジャージ着て踊ってるだけで(第26話ね)泣けるからね。歯磨きしてるだけで(漫画版ね)泣けるよ!

 それくらい、「終わらないやり直しの過程」というのを描いていたのはメッセンジャブルだった。一回死んで、どうしようもなくて茫然と丘の上からクローバータウンを眺めてるせつなさん、そこに通りかかる桃園母、とか。最終回でまたせつなさんがその場所からクローバータウンを見つめてる、とか、何度思い出しても打たれる。

 歴代36名カウントなのを考えると、第36話の一つの山場辺りに大トリがきそうで、やっぱりラストはマナさんかのう。街の人が、ついに幸せの王子に、愛のプリキュアになる、という回できたら熱そうです。

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→前回:ハピネスチャージプリキュア!第2話「ひめとめぐみの友情!ハピネスチャージプリキュア結成!!」感想へ
→次回:ハピネスチャージプリキュア!第4話「転校生はお姫様!!ひめの友達ゲット大作戦!!」の感想へ
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