ハピネスチャージプリキュア!第35話「みんなでおいしく!ゆうこのハピネスデリバリー!」の感想です。
今回の見所ベスト1。
第1位:ドキドキ!ハピネス理論
『ハピネスチャージプリキュア!』は『ドキドキ!プリキュア』と連動してると思える所があって、それは「幸せの王子」と「街の人達」モチーフ。
色々な人たちに愛や幸せ(を象徴させてるアイテムなど)を配って回る人と、それを受け取って立ち上がる人、というのが、これまでも何度も何度も描かれています。で、『ドキドキ!プリキュア』が「幸せの王子」側、相田マナさん側の視点だったのに対して、『ハピネスチャージプリキュア!』はこれから立ち上がる側、「街の人達」側視点が大きい、というのがこれまでの僕の見方。
なのだけど、めぐみさんとひめが本当これから立ち上がる「街の人」って感じなのに対して、ゆう子だけは既に「幸せの王子」段階に達してる感じなのですよね。めぐみやひめより先に物語冒頭時点で「既にプリキュアになっていた」という設定も、その辺りを反映しているのかなと。今回の「お弁当と飴を街の人達に配って回る」も、まんま『ドキドキ!』の「幸せの王子」の行動ですよね。で、実際、漫画家さんも主婦の方もモデルさんも(「街の人達」側)、幸せがチャージされて、立ち上がれるようになっていく。
そんな、既に相田マナさん的「幸せの王子」ポジションのゆう子さんからごはんと飴(愛や幸せ)を受け取る「街の人達」側として、今話で焦点が当たるのは引きこもりがちなお年寄りの三ツ谷さん。
「閉ざされた門」が印象的に使われていて、これは第4話(感想)の「保健室のベッドの布団」や「体育館倉庫」と同じ扱いの「閉ざされた場所」で、そこに引きこもってしまうまだ立ち上がれない段階の「街の人」描写なのではと。
第4話もそう思うと、めぐみさんだけじゃなくて、ゆう子からも幸せが伝導して、当時まだ立ち上がれていなかった(前話ではこの頃からの成長が描かれていました)ひめが、少し立ち上がる、その結果、そんな姫から勇気が伝導して、体育館倉庫に引きこもっていた教師も少し立ち上がる、と、そういうお話でした。やっぱり、ゆう子さん=「幸せの王子」な感じなのですよね。
今話でも、そんな今ではまだ立ち上がれず閉じた場所に引きこもっていた三ツ谷さんが、「幸せの王子」ゆう子からごはんと飴(に比喩される愛や幸せ)を配られた結果、少し立ち上がって「閉ざされた門」から外に出てくるまでになる、というお話だったと思います。この、「幸せの王子」から愛、幸せ、勇気を伝導してもらった結果、「閉ざされた場所」から出る、自分で立ち上がるようになる、というのは例年その年のTVシリーズのテーマの先取りになってる『映画プリキュアオールスターズNS3(感想)』のユメタくんの物語も一緒ですね。
また、RubyGillisさんも今週の感想で書いてるけど、今話でゆう子さんが配っていたのが「飴」と「ごはん」の両方なのは、最近の「子供時代の純真な夢や理想と、厳しい大人の現実でも再契約する」のテーマからすると、「飴」が子供時代、「ごはん」が大人時代の象徴かと思います。両方大事だというか、前期エンディングの『プリキュア・メモリ』の歌詞のごとく、子供時代の飴的なイノセンスも、ごはん食べなきゃな過酷な大人時代にも併走してくれる、みたいな感じですよね。
映画のテーマの予想も僕もRubyGillisさんとほぼ同じで、今話でゆう子さんが、子供に飴をあげる時に「ウサちゃんの分もどうぞ」と言っていたのが印象的です。ウサギのぬいぐるみ=子供時代のイノセンスの象徴なんだけど、それも大事でしょ、大人世界でもその気持ちと併走していこうよ、みたいな話です。で、このテーマは、『映画プリキュアオールスターズNS2(感想)』の、厳しい現実の戦いの中、玩具の剣(子供時間の象徴)にハートを込めて戦う、という描写とも重なる、と。
ゆう子さんは本当凄くて、愛や幸せを配ってる点で『ドキドキ!』の相田マナさん要素を兼ねてるし、歌を歌って敵陣営との共通体験をはかっている辺りは後半の真琴さんの域(レジーナ様に向かって歌のみで前進する回(ドキドキ!プリキュア第40話「とどけたい思い!まこぴー新曲発表!」感想)ね)に達してるし、これでトータルでまだ子供と大人の境界時代なのだとしたら、本当に子供の頃の夢や理想を体現したまま大人になったらどうなるのかと。
どうなるかっていうか、まあそれが今話でも描かれてる「みんなでごはんを一緒に食べる」という、ハピネス、「平和」の風景なのだと思いますけど。この「みんなでごはんを一緒に食べる」という理想の風景も、度々『ドキドキ!プリキュア』でも描かれていたことですね。如何に、TJさんの『鍋プリBOOK(こちら)』が先進的過ぎたかということですね(え)。
そんな、「幸せの王子」ポジションの人から配られた愛や幸せや勇気を受け取った「街の人たち」が立ち上がっていく様を、今までは「立ち上がる」と一律に表現していましたが、それは例えば「閉じた場所に引きこもってる状態から外に出られるようになる」とか「子供の頃の純真性と大人の時間でも併走できるようになる」ということなのかもしれません。そういう状態に至って貰えることで、困難な現実の世界を乗り越えていく「リソースが追加」されるという。で、そうなった人たちがまたネクスト「幸せの王子」になって愛や幸せ、勇気を「その次」に配っていったら……という話ですね。で、そのフレームを、メタに『プリキュアシリーズという作品』と『その視聴者』にかけて演出していると。すっげー先進的なテーマを盛り込んでいると思っております。
→改訂版
→Blu-ray
→前回:ハピネスチャージプリキュア!第34話「ひめ大活躍!?盛り上げよう!はじめての文化祭」感想へ
→次回:ハピネスチャージプリキュア!第36話「愛がいっぱい!めぐみのイノセントバースデー!」の感想へ
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