『魔法つかいプリキュア!(公式サイト@朝日放送公式サイト@東映)』第9話「さよなら魔法界!?みらいとリコの最終テスト!」の感想です。
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 例年映画とTV本編は(テーマなどで)リンクしてる関係にあるのですが、『映画プリキュアオールスターズみんなで歌う♪奇跡の魔法!』(こちら)のキャッチコピーが「想いはきっと、心に届く!!」で、内容は「気持ちがちゃんと伝わるか」ということを扱っていたように、TV本編もここ数話は「想いが伝わるか?」ネタが繰り返されてると思います。

 今話に関しては、「今日の授業がラストでお別れになっちゃうんだけど、寂しくないのか?」という点に関して、


 リコ→(リコからみらいへの気持ち)
 みらい→(みらいからリコへの気持ち)


 の二つの視点から、それぞれ「相手のアンサー待ち」という内面の物語が描かれます。

 で、上に関しては、Aパート、バトルパートを待たずして解決してしまうんですね。リコ視点からみらいは寂しくないのかな? というストーリーを引っぱっておいて、「やっぱりみらいも寂しかった」と、アンサーが返されて、双方向に「気持ちが伝わる」というのが描かれます。

 で、後半ですよ。バトルパートでミラクルが一瞬マジカルを見るシーンが挿入されて、今度はみらいからリコへ気持ちが投げかけられるのが描かれています。視点が、前半のリコからみらいに変わってるんですね。

 二人がお別れするというのは、今作の設定だとプリキュアにも変身できなくなりますから、これまでのプリキュアシリーズの用語も使ってよいなら、「メルヘン時間の終わり」みたいなのが意識されます。

 となると、「別れ」は「厳しい現実」です。『スマイル』まで遡らなくても、前作『Go!プリンセス』で、異世界同士で離ればなれになっても大丈夫! みたいに締めくくっていたのに、やっぱり大丈夫じゃなかったんじゃないか? 的なタメの展開です。

 で、みらいは帰りのカタツムリ電車の中で泣いてしまうと。Aパートで、リコに対してみらいのアンサーは返ってきましたが、みらいにリコからのアンサーは返ってこないのです(見送りにも来てくれない)。厳しい現実では。

 という前提を、何もかも覆してリコさんが箒で飛んでみらいさんの元へやってくるというラスト。


 「私もいくわ。ナシマホウ界に。あなたの世界に」(リコ)


 これが、前回からの「信じる」がキーワードのエピソード後編という感じで、リコはみらいだけじゃなく、みらいをはぐくんだその世界も信じるって言ってるんですよ。じゃなきゃ来ないですよ。あと、「あなたの世界に」は単純にナシマホウ界にという意味と、みらいの内面、みらいという人間の世界に、のダブルミーニングな。

 そんな感じで、みらいに対してもリコからアンサーが来た! というラストでもあるし、ここしばらく積み重ねてきた「気持ちが伝わる」ということが成就したラストでもあるし、映画も(テーマ的に)背景で繋がってる感じがするから、あるいはソルシエールさんに魔法使いさんの気持ちがちゃんと伝わった瞬間の意義、そういうものを肯定するかのようなラストとも言えるかもしれない。

 ラストのリコに気付いてからみらいが走っていくシーンのコンテ、作画、演出がすばらしく(何回も観た)、またラストの「約束だよ、ずーっとずーっと一緒だよ」は、台詞的・テーマ的に初代『ふたりはプリキュア(MaxHeart)』最終回ラストのオマージュにもなっており、感無量でありました。

 厳しい現実ではそのままだと分断に向かって大事なものを手放してしまう世界で、何らかの永遠性を拠り所に、その分断を繋ぐっていう話なんだよな。今作のテーマは(改めて)「手を繋ぐ」というのが分かってきた気がします。人と人との分断を繋ぐことでもあるし、その背景になってる世界と世界(そしてそれぞれに、過去から現在までの歴史がある)を繋ぐことでもあったりすると。今話ラストは個人的にプリキュアシリーズ12年の中でもかなり上位にくる勢いだぞい。

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→前回:魔法つかいプリキュア!第8話「魔法のほうきでGO!ペガサス親子を救え!」の感想へ
→次回:魔法つかいプリキュア!第10話「ただいま!ナシマホウ界!ってリコはどこ?」の感想へ
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