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クルクルッキーとか、七変化するはーちゃんとか、スタイルチェンジするプリキュアさんとか、作中に「様々に見え方が変わる」要素が幾重にも描かれている本作。
「テストで学年一位」も「ショッピングで気晴らし」も、喜びに満ちた事柄なはずなのに、表情は晴れないみらいさんとリコさん。本来は楽しい事柄の「見え方」が変わってしまっている。何故なら、はーちゃん、一番大事な人がいないから。一番の幸せの根幹を喪失しているのに、何をやっても心からは笑えないのでした。
ここのくだりは警句になっている感じです。はーちゃんに当たるのは視聴者向けには親御さん視聴者なら子供とか、あるいは家族とか、それぞれに大事な人でしょう。そこをないがしろにして、社会的評価の競争で勝った（学校のテストじゃなくても、会社で昇進したとかにも置き換えられる）とか、いっぱい消費したとかいっても、実は全然心からは満たされないものなんだよ、と。たまに、家族捨てて社会的評価を目指したり、消費に明け暮れたりしてる大人、マジでいますからね……。それでは、ハリボテの幸せしか得られないんだよ、と。
その、「はーちゃんの喪失」に関して、どうやって乗り越えるか、一度はリコが「魔法界に戻って偉大な魔法使いになる」という方向に行きかけるのですが……。これは、問題の解決にあたって強大な魔法、「闇の魔法」を目指したクシィさんと重なる選択肢です。今話は、危うくリコがそのバッドエンドを繰り返しそうになる、けっこうな分岐点も描かれていたのだと思いました。（ファンタジーな方向の）「魔法」で何でも解決しようとするのはダメだよという要素が描かれている本作（第13話「たのしいＢＢＱ！幸せたくさんみ〜つけた！」など）。その選択肢の別解として描かれたのが……。
まさかのモフルンのヒゲ芸。つらい喪失の中、それでも「笑おう」ということ。まさに第12話「満天の星空とみらいの思い出」（感想）の、暗闇の中で「見え方」を変えて星空の美しさを見つけようの精神。いくつかのテーマが関係し合いながら複数存在している本作ですが、ここが一番メッセージ性が高いところなのかもしれない……。モフルンのヒゲ芸はけっこう無理して笑いとってるのですが、それで「見え方」が変わるなら、道化にもなろう。モフルンカッコいい。プリキュアシリーズ制作陣が震災後の2012年に『スマイルプリキュア！（感想）』をやったスピリットを思い出します。
こうして、みらいさんとリコさんの「見え方」も少しだけ変わる。
現実では、そうして辛い事柄の「見え方」を変えても、たとえば失った大事な我が子が実際に戻ってくることはないのかもしれないのだけれど、その点をこそ、「作品（フィクション）＝形のないもの」。「奇跡」で「魔法」だ！ として描いていると思いました。それでも、笑顔でいようと至ったみらいさんとリコさんのもとに、はーちゃんが帰ってくる。どちらかというと、はーさん？ になって。キュアフェリーチェになって。
はーちゃん変身も良かったけど、モフルンのヒゲ芸の所でウルっときた一話でありました。喪失に対して、強大な力のようなものの獲得で埋め合わせようとする人は現実にもいるわけですが（漫画家になって成功すればすべて報われるはずみたいな）、そうじゃなくて、まず「見え方」を変えて、日常の中でもう一度笑ってみることだと。
ナシマホウ界では「時間」の変化と共に四季が変わり、魔法界では「場所」の変化と共に四季が変わる。均質化された世界じゃなく、世界にその「変わる」ということが守られているから、笑えなくなっても、時間の経過と共に、あるいは過ごす場所を変えたりすることで、また人は笑えたりする。
「見え方」の変化は、親から子への目線の変化でもある。リコのお父さんからリコへ向けられるまなざしと、みらいのお母さんからみらいに向けられるまなざしも描かれている本エピソード。それらが、みらいとリコ（実質親ポジション）からはーちゃん（実質子供ポジション）に向けられるまなざしと重ねられています。一番大事な人、ということ。
頼れると思っていた保護者（父母や校長先生）は実はけっこうもう老いていると「見え方」が変わり、守ってあげなきゃと思っていた保護対象（みらいとリコという子供達や、はーちゃん）は、実はけっこう一緒に戦ってくれるくらいに成長していると「見え方」が変わる。
そんな、前半二クールと後半二クールの転換点。OPもEDもアイキャッチも変更で、ここから新番組に「見え方」が変わる勢い。相変わらず言ってる意味は分からないけど精神の奥に刺さってくる森雪之丞さんの主題歌の歌詞が素晴らしいのでした。ニャンだフル！
→香川久氏の東映アニメーションプリキュアワークスがそろそろ
→『映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!（感想）』のBlu-ray特装版
→Amazon・ビデオでプリキュアシリーズを観る（初代〜ドキドキ！へのリンクまとめ）
→前回：魔法つかいプリキュア！第21話「ＳＴＯＰ！闇の魔法！プリキュアＶＳドクロクシー！」の感想へ
→次回：魔法つかいプリキュア！第23話「これからもよろしく！おかえり、はーちゃん！」の感想へ
→魔法つかいプリキュア！感想の目次へ
クルクルッキーとか、七変化するはーちゃんとか、スタイルチェンジするプリキュアさんとか、作中に「様々に見え方が変わる」要素が幾重にも描かれている本作。
「テストで学年一位」も「ショッピングで気晴らし」も、喜びに満ちた事柄なはずなのに、表情は晴れないみらいさんとリコさん。本来は楽しい事柄の「見え方」が変わってしまっている。何故なら、はーちゃん、一番大事な人がいないから。一番の幸せの根幹を喪失しているのに、何をやっても心からは笑えないのでした。
ここのくだりは警句になっている感じです。はーちゃんに当たるのは視聴者向けには親御さん視聴者なら子供とか、あるいは家族とか、それぞれに大事な人でしょう。そこをないがしろにして、社会的評価の競争で勝った（学校のテストじゃなくても、会社で昇進したとかにも置き換えられる）とか、いっぱい消費したとかいっても、実は全然心からは満たされないものなんだよ、と。たまに、家族捨てて社会的評価を目指したり、消費に明け暮れたりしてる大人、マジでいますからね……。それでは、ハリボテの幸せしか得られないんだよ、と。
その、「はーちゃんの喪失」に関して、どうやって乗り越えるか、一度はリコが「魔法界に戻って偉大な魔法使いになる」という方向に行きかけるのですが……。これは、問題の解決にあたって強大な魔法、「闇の魔法」を目指したクシィさんと重なる選択肢です。今話は、危うくリコがそのバッドエンドを繰り返しそうになる、けっこうな分岐点も描かれていたのだと思いました。（ファンタジーな方向の）「魔法」で何でも解決しようとするのはダメだよという要素が描かれている本作（第13話「たのしいＢＢＱ！幸せたくさんみ〜つけた！」など）。その選択肢の別解として描かれたのが……。
まさかのモフルンのヒゲ芸。つらい喪失の中、それでも「笑おう」ということ。まさに第12話「満天の星空とみらいの思い出」（感想）の、暗闇の中で「見え方」を変えて星空の美しさを見つけようの精神。いくつかのテーマが関係し合いながら複数存在している本作ですが、ここが一番メッセージ性が高いところなのかもしれない……。モフルンのヒゲ芸はけっこう無理して笑いとってるのですが、それで「見え方」が変わるなら、道化にもなろう。モフルンカッコいい。プリキュアシリーズ制作陣が震災後の2012年に『スマイルプリキュア！（感想）』をやったスピリットを思い出します。
こうして、みらいさんとリコさんの「見え方」も少しだけ変わる。
現実では、そうして辛い事柄の「見え方」を変えても、たとえば失った大事な我が子が実際に戻ってくることはないのかもしれないのだけれど、その点をこそ、「作品（フィクション）＝形のないもの」。「奇跡」で「魔法」だ！ として描いていると思いました。それでも、笑顔でいようと至ったみらいさんとリコさんのもとに、はーちゃんが帰ってくる。どちらかというと、はーさん？ になって。キュアフェリーチェになって。
はーちゃん変身も良かったけど、モフルンのヒゲ芸の所でウルっときた一話でありました。喪失に対して、強大な力のようなものの獲得で埋め合わせようとする人は現実にもいるわけですが（漫画家になって成功すればすべて報われるはずみたいな）、そうじゃなくて、まず「見え方」を変えて、日常の中でもう一度笑ってみることだと。
ナシマホウ界では「時間」の変化と共に四季が変わり、魔法界では「場所」の変化と共に四季が変わる。均質化された世界じゃなく、世界にその「変わる」ということが守られているから、笑えなくなっても、時間の経過と共に、あるいは過ごす場所を変えたりすることで、また人は笑えたりする。
「見え方」の変化は、親から子への目線の変化でもある。リコのお父さんからリコへ向けられるまなざしと、みらいのお母さんからみらいに向けられるまなざしも描かれている本エピソード。それらが、みらいとリコ（実質親ポジション）からはーちゃん（実質子供ポジション）に向けられるまなざしと重ねられています。一番大事な人、ということ。
頼れると思っていた保護者（父母や校長先生）は実はけっこうもう老いていると「見え方」が変わり、守ってあげなきゃと思っていた保護対象（みらいとリコという子供達や、はーちゃん）は、実はけっこう一緒に戦ってくれるくらいに成長していると「見え方」が変わる。
そんな、前半二クールと後半二クールの転換点。OPもEDもアイキャッチも変更で、ここから新番組に「見え方」が変わる勢い。相変わらず言ってる意味は分からないけど精神の奥に刺さってくる森雪之丞さんの主題歌の歌詞が素晴らしいのでした。ニャンだフル！
→香川久氏の東映アニメーションプリキュアワークスがそろそろ
→『映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!（感想）』のBlu-ray特装版
→Amazon・ビデオでプリキュアシリーズを観る（初代〜ドキドキ！へのリンクまとめ）
→前回：魔法つかいプリキュア！第21話「ＳＴＯＰ！闇の魔法！プリキュアＶＳドクロクシー！」の感想へ
→次回：魔法つかいプリキュア！第23話「これからもよろしく！おかえり、はーちゃん！」の感想へ
→魔法つかいプリキュア！感想の目次へ
