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新作オリジナル小説『こちら街アカリの復興部!』の執筆にかかりっきりだったため、感想を書かないでいた分を書いていきましょうシリーズ。少しずついきます。
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これまたすごい好きだったモフデレラ回。
シンプルに笑ったりウキウキしたりな方向でとても楽しい回なのに加えて、色々と大事なこともいっぱい詰まってる回でありました。
最終的に夢の中にしか存在しなかった馬車が、現実世界にも(思いがけないかたちで)現れる(しかもそのまま新アイテムに)という展開なんだけど、「かたちのないもの」、『スマイルプリキュア!(感想)』用語とか使ってよいなら「メルヘン的なもの」、それを実現化させる、という話。
で、本作でのこの、「かたちのないもの」、「メルヘン的なもの」って、「今はまだ実現化してない未来」なんだろうなって。
この辺り、第1クールのまとめとして、
●リコ(=Record)が過去を赦して未来に目を向け始める〜『魔法つかいプリキュア!』第1クールのエッセンス
という記事を書きましたが、「過去」を踏まえた上で、第3クールはほとんどが「未来」に視点がある話になっていてウキウキしています。「未来(みらい)」は主人公の片割れの名前そのものですからね。やっぱり、そっちの話に行くんだなぁと色々リンクしてくる感じが感慨深いです。
第1クールの時点で既に、本作では、「未来=今はまだ現実化していない頭の中のイメージ」ということで描いていくよ、ということは描かれ始めていて、みらいさんはこの能力に長けているというのが随所で描かれていたのでした。
頭の中のイメージを、水の形で実現化させる第6話「特訓!魔法の杖!先生はリコのお姉ちゃん!?(感想)」とか、飛べるって信じて(頭の中でイメージして)実現化させてしまう第8話「魔法のほうきでGO!ペガサス親子を救え!」(感想)とかですね、それに加えて、各種の直観力(=未来のイメージの受信力or理想の未来を選び取る力)に優れているという描写も豊富でした。
抱いた頭の中のイメージを、「未来」に実現化させていく、というのは、この回でモフデレラがシンデレラではなく魔法つかいになりたいと願って最後に魔法つかいになるという展開や、事前告知されている『映画魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン!(公式サイト)』の、モフルンが現実にプリキュアになる展開ともリンクしています。
その上で、みらいさんが思い描く「未来」って何なのかっていう方に物語が向かって行っているのですが、その一つが、早く感想書きたいと思ってる第31話「結晶する想い!虹色のアレキサンドライト!!」のアレキサンドライトスタイル登場で爆現するので、この辺りの話数は、それに向かって丁寧に「タメ」を構築してる段階ですね。
「過去」の延長線上にない「未来」。
っていうのを伝えたい作品なんだと強く感じるようになりました。第1クールの丁寧に「過去」の見方を変えていく話などは、第3クールでこのメッセージを爆発させるためのコツコツとした積み重ねだったのだと思うのですよ。
「過去」は大事。そのことは踏まえた上で。
リコさんは、それまでの「過去」からの延長線上のものの見方しかできないでいたら、リズ姉さんはいつまでも「競争相手」で、「無償の愛情を向けてくれる姉(家族)」とは見られないでいた。
毎年テーマがTVシリーズ本編とリンクしている『映画プリキュアオールスターズみんなで歌う♪奇跡の魔法!(感想)』でも、ソルシエールさんは「過去」のものの見方に囚われていたら、魔法使いさんの愛情に気づけないままだった。
リアルの方でも、日本、経済にしろ、超高齢化社会の話にしろ、「過去」の延長線上の「未来」しかないのだとしたら、「未来」はとても暗いです。
そんな世情も踏まえつつ。
「過去」は大事だけれど、踏まえた上で、思いがけないくらい素敵な「未来」を選び取ってやろうよって作品なんだと感じるようになっています。
例年、やっぱり第31話or第32話近辺ですね。メッセンジャブルなものが出てきて、今年も凄いな〜と思って、視聴テンションも上がってくるのは。第1クールからずっと描いてきた「見え方が変わる」という本作のテーマが、大筋の、「未来の見え方を変える」にリンクしていく展開になるとは……。
リアル世情よろしく、劇中でも、大いなる厄災がやってくると、「過去」の延長線上のままだと、「未来」には破綻が待っていることが示唆されています。それを、「過去」の延長線上にない、思いがけないハッピーな「未来」を選び取ってみせる物語だと。
また、人工知能の脅威なんかも語られるリアルの方の最近、この「過去の延長線上にない思いがけなさ」こそが、まだしばらくは人工知能に代替されない人間の本質であるとする議論もあります。アンナ・ハーレントなんかを引いてくる議論ですね。
そう思うと、はーちゃんの力すら、エメラルド関係というのは、この時点では「過去」の延長線上の力でしかなかったものなんです(「過去」の文献で予言済み)。それを超える思いがけないアレキサンドライト(おそらくはーちゃんの力とは別系統)が登場する第31話は本当熱いですね……。
また、「思いがけなさ」こそ人間の本質で、そういうのも大事にしている作品だと思うと、今話のようなハチャメチャ感とか、諧謔、ユーモア、不条理的要素、そういうビッグデータの予想から導き出されないような類の事柄、実はこれからの時代に人間として生きていくのにあたって大事なんだなって思い知らされます。
TJさんが、このモフデレラの回を絶賛していて笑ったのですが(TJさんのブログの第29話「新たな魔法の物語!主役はモフデレラ!?」の感想)。TJさんの同人誌感というか、浦沢感というか(え)、そういうのって、実は人間にとって本来的に大事だったんだよ!(キリッ)
人工知能が脚本とか書く未来も近いと語られたりする昨今ですが、チャーハンが結婚する話を書くようになるまでは、まだかなり時間が必要だと感じます(「ペットントン 第30話「横浜チャーハン物語」」で検索してみるんだ!)。
みらいさんが抱いている、「ずっといっしょ」という願いは、実は非効率的で、人工知能的世界観からは歓迎されないものなんです。だけどその分、とても人間的な願いです。それを叶えるために、逆説的に、「過去」の延長線上から、「見え方」を変える。思いがけない「未来」を選ぶ。熱いわー。
本作の初代回帰感。あの頃(フレッシュ以前)は脚本が荒いだけじゃなかったんや……、現在のリアルの文脈でそれこそ「見え方」が変われば、思いがけないことが起こる分、人間的だったんや……。
『魔法つかいプリキュア!』の終盤は、「思いがけなさ」の展開をやってくれそうで、ワクワクしています。
何気に、第7話「人魚の里の魔法!よみがえるサファイアの想い!(感想)」の頃から、本作では、人魚は海を泳ぐものと思い込んでいた(過去からの延長線上の捉え方)のを、人魚が空飛ぶよ(思いがけない未来を選ぶ)でもいいじゃんってことを、是として描いて行くよって、仕込んであったりしたのに気づかされます。
こ、これをやられちゃうと、もう、最後はどんな超展開もありなのですよね。人魚が空を飛ぶ感じに展開することこそが、むしろ本作の醍醐味(そーいうのが「人間らしさ」)ですって言っちゃってる感じなので。空から追加武装が降ってくるかもしれないし、追加武装が宅急便で送られてくるかもしれないし。
基本的には緻密脚本好き派としては、ええ!? って感じもあったりしますが、そういう方向できた以上、これまでの話数からの流れ(過去からの延長線上)を放棄しての、思いもがけないラスト一話みたいなのを期待してしまいます。
「過去」は踏まえた上で、「過去」の延長線上にない、思いがけない(素敵でハッピーな)「未来(もとは頭の中のイメージ、閃き)」を選び取る。メッセージとしては、とても共感して視聴しておりました。
→TJさんの新刊同人誌は、明日(9月25日(日))のレイフレ(サイト)で頒布だよ
ハッピーになれるかはともかく(え)、相変わらず「思いがけなさ」感あるな……。9/25開催、レインボーフレーバー15にて頒布予定の新刊お知らせ。
— TJ-type1@レイフレあ11 (@tjtype1) 2016年9月17日
「漫画版 仮面ライダーゴースト 60の眼魂と3人のアイドル」
アイドルプリキュアの声がみんな関智一になってしまう不可思議事件にゴーストが挑みます! レッファイ! pic.twitter.com/SMiediGkoC
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→Amazon・ビデオでプリキュアシリーズを観る(初代〜ドキドキ!へのリンクまとめ)
→前回:魔法つかいプリキュア!第28話「魔法界の夏祭り!花火よ、たかくあがれ!」の感想へ
→次回:草木国土悉皆成仏を唱えてモフルン師匠にブッダが宿る〜魔法つかいプリキュア!第36話「みらいとモフルン、ときどきチクルン!って誰!?」の感想(ネタバレ注意)へ
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