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 『魔法つかいプリキュア!(公式サイト@朝日放送公式サイト@東映)』第43話「いざ妖精の里へ!あかされる魔法界のヒミツ!」の感想です。
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 一つは今では忘れ去られてしまった「過去」へ向かう物語があり。

 もう一つは未だまだ選ばれてない「未来」を願うという物語があります。

 前者の方、「過去」へと遡ってゆく方向の話としては、今では別れてしまった世界が元は一つだった、というのがいよいよ明らかになってきました。

 それゆえに、変奏しつつも、二つの世界の両方に『シンデレラ』が伝わっていたと。

 この点に関しては、リアルの方の南方熊楠の『西暦九世紀の支那書に載せたるシンダレラ物語』という論文が元ネタになってるのではないか、というのは最近の感想に書いていた通りです。↓


過去と未来、現実と想像は「シンデレラ」で「和(=プリキュア)」に至る〜魔法つかいプリキュア!第40話「愛情いっぱいのおめでとう!リコの誕生日!」の感想(ネタバレ注意)


 それゆえに、モフデレラ回が重要回の作品であると。

 西欧と中国の端とで、変奏しつつも『シンデレラ』の同系物語が伝わっているのですが、元は一つの原初の物語、原初の世界・人類で共有されていた物語なのだろう、というのがざっくりとした南方熊楠の論文の主旨です。

 この「元は一つだった」というモチーフが、世界の話のみならず、「母」というキーワードでマザーラパーパ様の存在に重なってゆきます。今話がチクルンが「母」的な女王様の元へ戻る話ですし、もうちょっと普遍的に、生きとし生きる存在が、元は「母」なる存在と一つであって、そこから生まれてきた、というような話の射程にまで繋がってゆきそうです。

 一方で後者、まだ選ばれてない「未来」の方に向う話に関しては、「いつか必ず世界は再び結ばれる」という「願い」の「魔法」こそが「プリキュア」であることが明かされます。

 こちらの方もリアル世界の方の南方熊楠方面の学術とも接合可能で、これは「未来」方向としての日本、「和」ってことなんじゃないかと感じております。

 ちょうど、来年の春の映画(つまり「未来」の映画)『映画プリキュアドリームスターズ』が、「和」モチーフなんですよね(公式サイト)。最近のプリキュアシリーズは極限までコンセプトとマーケティングとエトセトラを研ぎ澄ませて連動させて展開しているので、そこまで考えているような気がします。

 「和」っていうのには、これまでの感想でも触れてきたような、神仏混交感だとかアニミズム感だとか、色々ありますが、ここで南方熊楠方面の想像力と繋げてみると、どうも、日本人の起源に関しては諸説あるのですが、一つの説は、大陸方面の人達とポリネシア方面の人達がちょうど日本列島(「境界領域」)辺りで出会って、混淆したのが日本人の祖先かもしれないという説があって、本作はこちらを採用しているような気がします。二つの世界、人類の出会い=「和」ということで、二つの世界とみらいとリコが出会うところから始まるこの物語のモチーフとして重なってゆく感じです。

 「未来」において、一旦別たれた人々が出会い、手を繋ぎ、新しい何かを創造してゆけたなら、という願い。

 最後に、この「未来」に関する世界規模のモチーフに、はーちゃんの存在がかかってきます。みらいとリコが「母」ならはーちゃんが「子」なので、はーちゃんこそが「未来」よりな存在なのですが。

 今話のマザーラパーパとはーちゃんを重ねる演出を、フェイクではなくそのまま受け取るなら、はーちゃんはマザーラパーパと何かしら関係がある存在で、つまり、「母」的な存在は、「子」的な存在へと生まれ変わって、何か「永遠」的なものを伝承してゆく……という世界観になります。

 こちらの、「転生」的な想像力とか、自分が自分だけではなく、同時に他の存在でもある、みたいなトーテミズム的な想像力も、やはりどちらかというと、日本的、「和」的な想像力です(真面目に遡ると仏教方面の影響とかも大きいです)。

 はーちゃんは、「母」にして「子」、「過去」にして「未来」、ということになってくると、最近の僕のTJさんの感想ベストコレクション(え)では、こちらの感想が上位にランクインするのですが。↓


魔法つかいプリキュア! #40「愛情いっぱいのおめでとう!リコの誕生日!」/真・南海大決戦

>ふとメタ的に考えると、古い物(伝統)と新しい物(刷新)のミックスで生まれるモノってプリキュアシリーズその物だわなぁって気もする。


 まさに、「過去」であり「母」にして、「未来」であり「子」であるはーちゃんは、メタにプリキュアシリーズそのものって感じになってくると。

 完璧に「初代」〜「5GoGo!」までの初期鷲尾天プロデューサー時代のエッセンスを、今の技術力・物語力でやるよって感じになってきてるので、これ、「MaxHeart」最終回(というかラスト3話)と「S☆S」最終回(というかラスト3話)の2016年ヴァージョンを本作ラストでやる気でしょ。はーちゃんに危機がせまって、でも、ソレは守るよ、変身! みたいな流れでしょ、これ絶対泣くよ……。

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Amazon・ビデオでプリキュアシリーズを観る(初代〜ドキドキ!へのリンクまとめ)

→前回:魔法つかいプリキュア!第42話「チクルンにとどけ!想いをのせた魔法のプリン!」の感想へ
→次回:魔法つかいプリキュア!第44話「モフルン大奮闘!みんな子供になっちゃった!?」の感想へ
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