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「キラキラル」なる次世代エネルギーを奪い合っている、エネルギー獲得競争というわりと殺伐とした世界設定でした。こ、これは戦争になるでぇ。
なるほどね! 「食」がモチーフということで、今後「食」には色々な意味合いがかかっていきそうではありますが、まず第一に、「食」=「エネルギー」ですよね。腹ペコになったペコリンが、いちかさんが作った「食」でエネルギーを補給するという展開を、たいてい物語全体のエッセンスが詰まっているこの第1話に入れてきております。この時点ではまだデコレーションされてないスポンジなのが、ともかく、まずは「エネルギー」だ! 全ては腹を満たしてからだ! 感が出ていて良かったです。
これはもう、有名なやなせたかしさん(『アンパンマン』の作者)の普遍的な「正義」の定義が、「お腹を空かせている人に食べ物をあげること」で、僕も大いに共感するところなので、いちかさんは正義のヒーローというしかない。
この時ペコリンが食べてお腹を満たせたスポンジは、理想通りのケーキには仕上がらなかった(結果が出せなかった)失敗作です。でも、ペコリンのお腹を満たすのに役に立てた。
これも含めて、「お母さんが帰ってきてショートケーキを届ける」という一番の結果(理想)は出せなかった、でもそのケーキを作った想い(過程)には意味がある。
変身時のデコレーションでも、最初のイメージ通りの結果(理想)は出せずに失敗してしまう。だけど、その失敗をひらめきで失敗したなりのうさぎショートケーキに変える。
と、失敗しても、理想通りの結果が出なくても、過程の想いには意味がある。その過程は別なカタチに昇華できる……という要素が、気がついただけでも第1話内に三重奏で組み込まれています。
「やり直せる」という意味では桃園さん(『フレッシュプリキュア!』)的だし、「一番の理想は叶わなかったとしても、二番、三番なりに折り合いをつけた幸せを見つけられる」という意味ではめぐみさん(『ハピネスチャージプリキュア!』)的です。五人組の物語で主題歌の歌詞に「Yes」入ってるのは『Yes!プリキュア5』ですし、宇佐美いちか、やっぱりこの子もプリキュアや!
クライマックスで描かれるのは、「想い」を守るということ。
他人の「想い」を守るよ! と行きそうなところですが、この第一話で焦点をあてて描かれたのは、自分自身の、宇佐美いちか自身の「想い」を守るということ。
もう、ペコリンが、
「このケーキは、いちかの気持ちペコ」(ペコリン)
って、いちかのケーキ(想い:気持ち)を守ろうとするところ、ウルっときましたよ。
ペコリン、放送前は頭が見た感じあれなのもあってみんなにネタにされてたのですが、みんなっていうかTJさん(ブログ/Twitter)が(え)ネタにしてたのですが、蓋をあけてみたら、わりとイイやつかつ熱いものも持ってるという正統派の妖精さんじゃないか! と一人ギャップ萌えしてましたよ。気持ちを、想いを守る。それは、いずれ「夢」とかにも繋がっていく類のものでしょう。お前が乾巧(『仮面ライダー555』)ポジションかよ!? というのもあって面白かった。伊達に、感情(想い:気持ち)に合わせて耳光らないぜ。
ペコリンからバトンを託されて、お母さんが帰ってくるという理想的な結果が果たせずにやさぐれかけていたいちかさんがついに吼える。自分の大事な気持ちは、まずは自分で守ると。
「これは私の想い。ぜったいに渡せない!」(宇佐美いちか)
かくして変身。テラ熱い。
地味にエネルギー獲得競争が起こってるのもそうだけど、この過酷なる「自由競争」世界の中、油断してるとあっさりと自分の本当の気持ちを搾取者に収奪されてしまうのですが、そうそう、自分の本当の気持ちを売ってはいけない。
デコレーションより、まずはエネルギー(お腹をみたせ)。
他人の想いを守るより、まずは自分の想いを守れ。
土台(エネルギー的なもの:多くは現実の場合資金とかだったりしますが)をないがしろにしてるのに夢みたいなことばかり語る人とか、他人の気持ちを尊重しますというポーズを取りながら自分の気持ちに嘘ついてる人とか、けっこういっぱいいる世の中で、それは現在の世情ではある程度しょうがない人間の弱さだとも個人的には思いますが、やんわりとそういうのにノーと言ってます。いちかさんは過激派やで……。だてに『暴れん坊力士!!松太郎』の貝澤監督じゃないぜ……。つくって!たべて!たたかって!
めちゃめちゃ面白かったです。
毎年、プリキュアの一話はこの国にかろうじて残ってる善なるもの全部詰まってる感じで、良いですね……。
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