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 『キラキラ☆プリキュアアラモード(公式サイト@朝日放送公式サイト@東映)』第17話「最後の実験!変身できないキュアホイップ!」の感想です。
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 例年その年のTVシリーズのエッセンスも詰まっている春映画『映画プリキュアドリームスターズ!(感想)を観て以来、『ドキドキ!プリキュア(感想)』〜『ハピネスチャージプリキュア!(感想)』〜『Go!プリンセスプリキュア(感想)』三部作で主に描かれていた「宝石を配って回った『幸せの王子』と宝石を受け取って立ち上がる『街の人達』モチーフ」が、今作『キラキラ☆プリキュアアラモード』でもけっこう描かれているんじゃないか、という話を最近ちょくちょく書いておりました。

 そして今話。人助けをして回る「幸せの王子」と、その裏で出てしまう「犠牲」についての関係(いちかさんとリオ君の会話の部分ね)が、とても『ドキドキ!プリキュア』っぽいです。

 『映画ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス!(感想)』で例えると、いちかさんのお母さんが入院中のお祖母ちゃんを見舞うため(手伝うため)駆けていく幼相田マナさん(=「幸せの王子」)です。一方で、いちかさんがマナさんがお祖母ちゃんの元に駆けて行ってる間に犠牲になったマシュマロです。

 犠牲になったマシュマロと同じポジションにいるのが、いちかさんとリオ君です。まだ明確には描かれておりませんが、リオ君の回想に映っていた人が、リオ君の親的なポジションの人か、何らかの「幸せの王子」的なポジションの人なのだと思われます。そういう「幸せの王子」的な人の裏側で犠牲になった者として、「幸せの王子」を恨むのか、恨まないのか。いちかさんとしてもセンシティブな部分だったので、一旦は心の隙を突かれて、リオ君にキラキラル(=想い)を奪われてしまいます。

 そこからいちかさんが復活する過程が、「全て失っても昔母親から貰った愛だけはなくならない」で、これは『Go!プリンセスプリキュア』第39話と同じで、脚本家の作家性なんかも感じた部分だったのでした。今話と同じく、シリーズ構成の田中仁さんが脚本を担当されてます。↓


参考:Go!プリンセスプリキュア第39話「夢の花ひらく時!舞え、復活のプリンセス!」の感想(ネタバレ注意)


 単なる焼き直しではなく、本作では第11話(感想)ですでにいちかさんに、


 「受け取った気持ちは思い出になって残る」(宇佐美いちか)


 と言わせていて、本作なりの主題=「想い」の伝承に関してさらに仕込んでいた上で、という感じです。

 『Go!プリンセスプリキュア』では第39話でやっていた展開を本作では第17話でやっている辺り、本作はもう少し先の射程も見据えてるのだろうなと期待してしまいます。

 「幸せの王子」の人助けと不可分の「犠牲」の問題は、『ドキドキ!プリキュア』第48話(感想)で「犠牲」の代表だったトランプ王国国民の真琴に「愛に罪はない。」と言わせるシーンで一区切りがついていると思いますし。

 「幸せの王子」と「街の人」の非対称性(片方が一方的に助けてるだけなのか?)の問題は、『Go!プリンセスプリキュア』終盤の「幸せの王子」と「街の人たち」が共闘する展開を踏まえつつ、『映画プリキュアドリームスターズ!』で親(ポジションのシズク)と子(ポジションのサクラ)が共闘する形で一区切りがついているとも思います。

 そうなってくると、残ってる問題ってジョー岡田さん関係かなぁ、とか。

 僕、『ドキドキ!プリキュア』はジョー岡田さんとアン王女だけは救われてないって解釈してるのですが。↓


参考(ジョー岡田さんのジョーカー性について):ドキドキ!プリキュア感想/第46話「エースとレジーナ!誕生の真実!」


 それもあってか、続く『ハピネスチャージプリキュア!(感想)』ではブルーさんとレッドさん、『Go!プリンセスプリキュア』ではカナタ王子、『魔法つかいプリキュア!(感想)』では校長先生と、疑似岡田さんっぽいポジションのキャラクターの救済はコツコツ描いていた気がするのですが、もう一押しほしいという気持ちもあります。

 そう考えると、リオ君のポジションも「幸せの王子」でも助けられなかった(少なくともリオ君視点からは)人ポジションっぽくて、疑似岡田さんっぽくもあるかな、と。

 そうなってくると、何といっても『ドキドキ!』以来、「人助け」のためには「リソースの追加」です。↓


参考:プリキュア雑記(2013年9月5日/テーマが光り始めるこの時期)


 その点、本作もキラキラルというエネルギーに関する獲得競争という背景じゃん! という作品でもあったわけですが。


 「どんなに奪われたって。私の大好きはここから沢山生まれてくるんだからっ」

 「いちか印のキラキラルに、賞味期限はないのだーっ!」(宇佐美いちか)


 今話のこれはカッコいい。リソースは、無限だ!

 「賞味期限がない」というのは、地味に『Yes!プリキュア5GoGo!(感想)』以来プリキュアシリーズでキーワードとなる「永遠」について言ってるとも言えます。それもちゃんと、館長側の保存する閉じた「永遠」じゃなくて、母から子へと受け継がれることで湧き出し続ける「永遠」です。

 実際、『Yes!プリキュア5GoGo!』〜『フレッシュプリキュア!(感想)』から幾世代も交代しながらリソースを生み出し続けていますからね。マネー的な意味でも(え)。資源がない国だから、想像力という無限リソースを武器に、フィクションを、メルヘンを、夢を、想いを、輸出していくしかないのであった。

 そう、つまり本作『キラキラ☆プリキュアアラモード』は何気に再び「世界」の話なんですよ。一見、小さい町からお話が始まってるのですけど、やってることは。『仮面ライダーオーズ』とかと同じです。お母さんが海外で人助けしてるとかの要素も含めて。

 『魔法つかいプリキュア!』でグっと「世界」とかよりも「日常」に焦点をあてて、そこから「世界」に再接続するぞ! っていう流れだったので、ここで再び「世界」の話やるっぽいのはとても楽しみなのでした。

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→前回:『キラキラ☆プリキュアアラモード』第16話「キケンな急接近!ゆかりとリオ!」の感想へ
→次回:『キラキラ☆プリキュアアラモード』第18話「ウワサの主は強敵ビブリー!」の感想へ
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