- ブログネタ:
- HUGっと!プリキュア に参加中!
ネタバレ注意です。
『映画プリキュアスーパースターズ!(公式サイト)』は公開初日に観てきて感想もアップ済みですが、毎回のごとく、二週くらいは感想記事中で映画の「コアな」ネタバレはなしの方向で(軽くは触れちゃいます)。その後は普通に言及していきます。
今回はすごい良かったので、全5回と大ボリュームで(笑)感想を書いておりました。↓
▼『映画プリキュアスーパースターズ!』の感想(ネタバレ注意)
●第1回〜ワンオペ母に手を差し伸べる朝日奈みらいの物語
●第2回〜悲しい過去も何とかなる物語
●第3回〜「幸福の王子」宇佐美いちかの物語
●第4回〜アニミズムとしてのプリキュアシリーズの物語
●第5回(最終回)〜過去の思い込みから解放される物語
◇◇◇
ここからは普通にTVシリーズ本編第8話の感想です。
若宮アンリ君が登場。はなさんとさあやさんと一緒にいることで挫折から立ち直り始めていたほまれさんに、「頂点を目指す人間にしか見えない世界がある」から、今の人間関係は切ってモスクワに行こうともちかけます。
弱者とかローカルの人間関係とか無駄だから、さっさと切って上昇志向で頂点を目指さないと! みたいな方向性です。
ちょうど、『映画プリキュアスーパースターズ!』の感想で、『HUGっと!』も相変わらず「グローバリズムと新自由主義の負の側面」に対して、どうなの? って言ってる作品でしょという話を書いておりました。↓
●映画プリキュアスーパースターズ!の感想5〜過去の思い込みから解放される物語(ネタバレ注意)
ローカルな「共同体」(=はなさんやさあやさんとの人間関係)を切って、グローバル(モスクワに行く)に頂点を目指そうよ! ……というアンリ君のほまれさんへのもちかけは、とても新自由主義的で競争原理主義的です。
かつて、ほまれさんもそういうものを目指していた。そして無理して怪我した(リアルだったら病気とか介護とか、色々ありますよね……)。そして挫折した。立ち直れない時間を過ごした。
繰り返しになりますが、
『HUGっと!プリキュア』の広報も兼ねてると思われる『プリキュア15周年記念PV 公開 〜ふたりの勇気はわたしの「夢」でした〜』を観てみると……↓
今回の『HUGっと!プリキュア』は作品の裏ターゲットに「昔プリキュアを見ていたような現在20代くらいの女性」もあるようです。【#プリキュア15周年 新情報】
— プリキュア15周年公式 (@precure_15th) 2018年2月1日
プリキュア15周年記念PV 公開 〜ふたりの勇気はわたしの「夢」でした〜
オリジナルPVが完成しました!
詳しくは15周年サイトまで!https://t.co/JrAztHtNKJ #precure #プリキュア pic.twitter.com/iGgr15XEux
彼女たちは子供の頃に「イメージしていた未来」が実現できたのか?
実現できなかった人の方が多いと思います。
第1話の感想から書いておりますが、「当初イメージしていた未来が思ったように実現できない」野乃はなさんは、そんな彼女らに重なるのかもしれません。
かつてプリキュアを見ていた女児視聴者も、オジサン視聴者wも、「グローバルだ!」と喧伝された時代の中で競争して上を目指して、そして勝てなかった、挫折して今にいたる……という人は多かろうという感じなのです。
というか、競争原理オンリーの世界観だと仕組み上(笑)勝って頂点に行けるのは一握りなので、大部分の人は疑似ほまれさん(挫折した人、跳べなかった人)状態で、時間が過ぎた今を生きているように思います。
ほまれさんは、アンリ君の世界(競争の頂点側)の凄さを認めながらも、挫折していた時、立ち直れないでいた時に側にいてくれたはなさんやさあやさんという「共同体」、これは現実では家族とか友達の比喩の側面が大きいと思いますが、そちらの紐帯(つながり)を切ることができません。
そんな、ほまれさんが立ち直っていく時に側にいてくれた(逆に言うといるだけだった)はなさんに、アンリ君の容赦ない言葉が突き刺さります。
「じゃあ君、ほまれのために何ができるの?」(若宮アンリ)
勝つことができず、夢破れ、立ち直れないでいた時に側にいてくれた家族は、友達は、無意味だったのか? 別に、彼・彼女らがいるから勝てたり頂点に行けるわけでもなし。
そんなはなさんやほまれさんの、「一緒にいてくれた意義」をかけて、今話、ほまれさんがついに再び跳びます。
ほまれさんの再びのジャンプは、かつて(「過去」)「イメージした未来」とはちょっと違う、はなさんの「花」の要素と、さあやさんの「羽」の要素がミックスされたものでした。
アンリ君が目指しているもの、かつてのほまれさんが目指していたものとは、少し違う「イメージ」。だけど、アンリ君もその美しさに目を奪われます。
第1話から繰り返されている、「当初イメージしていた未来が思ったように実現できない」という要素。
だけど、少し違うイメージなりに、誰かを幸せにできるかもしれない、という要素。
はなさんは前髪はイメージしていた通りに切れなかったけど(昔イメージしていたイケてるお姉さんにはなれなかったけれど)、切り損ねた前髪なりに似合っていて、誰かを幸せにすることは、ある。というここまでの『HUGっと!プリキュア』という作品。
今話のほまれさんの「花」と「羽」を含めたジャンプは、「当初イメージしていた未来」とは違うものです。でも、イメージしていた通りと違うから、オシマイダーなのか?
違う。
ほまれさんが言葉にしたのは、
「人生に無駄な時間なんか、ない」
視聴者さんも、15年ほど前にイメージしたヒーロー的な人、プリキュア的な人にはなれていないかもしれない。
でも、まだ生きて2018年に辿り着けた以上、その挫折の時間の中で、家族や友人のような、何かしら応援してくれた人がいたはずです。彼・彼女らは、今、勝ててない自分だから無駄だったのか? といったらそうは言いたくないわけで。
15年の時間で、残った大事なものはあります。
相変わらずの困難の中で、それを乗せて、当初のイメージとは違うなりに、もう一度跳ぼう。アンリくん的・かつてのほまれさん的な意味で競争の中グローバルに勝つ類の力ではないかもしれないけれど、少し違ったカタチの力なりに、思いがけず誰かを幸せにできるかもしれないので。
そんな感じの作品です。
◇◇◇
我が15年のプリキュア魔道(え)に悔いなし。
4月15日(日)に開かれるプリキュアシリーズの同人誌即売イベント「レインボーフレーバー18」にて、TJさん(ブログ/Twitter)が新刊を頒布されるとのことで、宣伝です。↓
相変わらずですねw入稿したので告知出来る。
— TJ-type1@レイフレF22 (@tjtype1) 2018年4月7日
「ドライブ対HUGプリ 踊る大重加速」
大規模な重加速を引き起こした容疑者として逮捕されるHUGっとプリキュア。
誰が時間を停めたのか。再び動き出せるのか。
光る、究極の歴史改変ビーム!
4月15日開催 #レインボーフレーバー18 にて頒布予定。 pic.twitter.com/Xh72OERdfM
仙台在住なので現地には行けませんが、僕は毎回ブーストつけて通販してますよw
TJさんの同人誌は毎回めっちゃ面白いので、当日行けそうな方とかは、是非〜。
そして、「ぴっち」と「プリキュア」で人生はだいたいイケる(え)Rubyさんのこちらの文章を読んで!↓
● 感想:土屋実紀20th anniversaryLive〜 一夜限りの復活祭り〜/ 穴にハマったアリスたち
→『ふたりはプリキュア』
→キュアエトワール
ライブドアブログのトラックバック機能がなくなっちゃったので、長年の友人のプリキュア民(笑)たちの感想にもリンク張っておくよ〜↓
●HUGっと!プリキュア #08「ほまれ脱退!?スケート王子が急接近!」/『真・南海大決戦』
●HUGっと!プリキュア 第8話 ほまれ脱退!?スケート王子が急接近!/四十路男の失敗日記
●HUGっと!プリキュア第8話感想&考察/あおいろ部屋
あと、何となく今年から実験的にしばらくコメント欄を開けておいてみるので、何かプリキュアの話とかありましたら〜。
→Amazon・ビデオでプリキュアシリーズを観る(初代〜ドキドキ!へのリンクまとめ)
→前回:一条蘭世さんが大事なキャラクターである理由〜HUGっと!プリキュア第7話の感想へ
→次回:HUGっと!プリキュア第19話がジェンダー論というよりメタフィクションである話(ネタバレ注意)
→『HUGっと!プリキュア』感想の目次へ