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 相羽です。

 『HUGっと!プリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』第46話「クライ、ふたたび!永遠に咲く理想のはな」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 改めて、ジョージ・クライさんの台詞として明確に、


 「プリキュアの戦いは無意味だ」(ジョージ・クライ)


 というものが出ました。

 本作は15周年記念作品なのですが、「プリキュアは無意味」は、5年前に10周年作品の『ハピネスチャージプリキュア!』でも扱っていた題材でした。

 『ハピネスチャージプリキュア!』、ざっくりとは、子供の頃からプリキュア(理想)とか観ていたけれど、子供の頃に信じた「ヒーロー」みたいな人間にはなれなかった(現実)。じゃあ、どうするか、という題材を扱っていた作品だったのです。

 一番色濃くこのテーマが現れているのは、劇場版の『映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ』で、容赦なく「プリキュアでも解決できないことがある」という物語が描かれます。


参考:映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ/感想(ネタバレ注意)


 足を怪我してしまってもう飛べないというつむぎさんの絶望を、プリキュアさん(めぐみさん)は抜本的には解決することができない。

 この、「子供の頃に信じたヒーローにはなれなかった」「プリキュアにもできないことがある」という主題は、『ハピネスチャージプリキュア!』TVシリーズ本編でも描かれていきます。

 子供の頃の理想を抱いて「人助け」を掲げるめぐみさんでしたが、失恋し、世界を救った後(ミラージュ様戦の後)は孤立し、誠司くんの気持ちに気づくこともできませんでした。

 じゃあ、どうするのか?

 5年前の『ハピネスチャージプリキュア!』時点での解答は、


 それでも、せめて一緒にいるよ。


 でした。

 映画だとつむぎさんの足を直してやったりはできないけれど、ずっとつむぎさんの側にいるというめぐみさんの決意と挿入歌「勇気が生まれる場所」が流れ始まるのがシンクロするクライマックスは感動的でしたし。

 TVシリーズ終盤の第47話。子供の頃に夢見たスーパーヒーローみたいにはなれなかったけれど、せめて誠司くんと、街の人たちと一緒にいる。それが私の「願い」であるという結論にめぐみさんが達するのも胸に響くものがありました。


「私の願いはぴかりヶ丘でみんなと幸せに暮らすこと。友達と、家族と、誠司と一緒に生きていくこと」(愛乃めぐみ)(『ハピネスチャージプリキュア!』第47話)


参考:ハピネスチャージプリキュア!感想/第47話「ありがとう誠司!愛から生まれる力!」


 で、それからさらに5年経って、今回『HUGっと!プリキュア』で扱ってるのは何かというと、


 一緒にいたけど、救うことはできなかった(救われなかった)。


 という題材なのですね。

 未来はなさん(ジョージさんの奥さん? かつプリキュアになってるルートの方)は、民衆、プリキュアシリーズの『幸福の王子』モチーフ(参考:ドキドキ!プリキュア感想/第32話「マナ倒れる!嵐の文化祭」)でいう「街の人」に寄り添って「一緒」にいたんだけど、「街の人」の欲望は暴走しトゲパワワが溢れて時間停止し、世界は救えなかった。未来はなさんも(おそらく)救われなかった。

 現在はなさんも、過去にイジメられてた生徒をかばう、つまりイジメられてた生徒と「一緒」にいるよという姿勢を示そうとしたけど(ちょうど、傷を負ったつむぎさんと一緒にいるとめぐみさんが表明したように)、自分がイジメられてしまって、救われなかった。

 5年経ってみたけど、「一緒」にいても民衆、「街の人」は救えなかったし、プリキュアも救われなかったじゃん、というのが『HUGっと!プリキュア』という物語最終章の現在です。

 じゃあ、どうするのか?

 予想としてはほぼ一択で、『HUGっと!プリキュア』でずっと描いてきた「やり直せる」ということが最終章に生きるのだと思います。

 一度失敗した人が、「避難所」のような場所に一旦退避して、また「やり直す」ということをずっと描いてきた『HUGっと!プリキュア』。

 イジメられて排斥されたはなさんは、お母さんという「避難所」を経由して、新しい学校で「やり直し」た。

 現在はなさんが過去に受けたイジメと、未来はなさんが民衆から受けた仕打ちが連想として重なっているわけですが、現在はなさんが「避難所」を経由して「やり直し」ができたなら、未来はなさんも「やり直し」ができるはずです。

 さらにこの題材、プリキュアさんはわりと「やり直し」ができる子なんです。

 ほまれさんがスケートという題材で「やり直し」に関して描かれているキャラクターだというのはずっと感想で書いてもきましたし。↓


参考:挫折を可能性と捉えなおすということ〜HUGっと!プリキュア第5話の感想(ネタバレ注意)


 さあやさんも、女優の道から医者の道へと「やり直し」をするキャラクターです。

 ルールーさんとえみるさんの物語のラインも、「やり直し」のモチーフです。


参考:HUGっと!プリキュア感想/第22話「ふたりの愛の歌!届け!ツインラブギター!」(ネタバレ注意)(ギターが一度壊れても、ツインラブギターとして「やり直す」的な象徴)

 そうなると、プリキュアさん達はわりと「やり直し」ができてるので、民衆、「街の人」側の「やり直し」がむしろ最後はキーになるのかなと。

 アンリくんとかが(傷を負っても)「やり直し」の過程を生きるキャラクターとして描かれているのは、主題として綺麗ですが、分かりやす過ぎるという感じもします。民衆、街の人というには、アンリくんはスペックが高すぎるというのもあります。

 次回予告にも出てたし、元クライアス社の面々、チャラリートさん、パップルさん、ダイカンさんらが「やり直し」組として描かれるのだろうなというのも鉄板予想です。

 ですが、まだ3話あるので、もう、一、二、カードある気がします。

 なので、僕としては終盤で民衆側の「やり直し」の象徴を集約するキーキャラクターとして、当初の思い通り(欲望)にいかなくても折り合いをつけて「やり直し」ながら生きる人として一条蘭世さんが出てくるに全額ベットします(エーッ)。


参考:一条蘭世さんが大事なキャラクターである理由〜HUGっと!プリキュア第7話の感想(ネタバレ注意)


 大きな物語の中心よりも、作品のコアが詰ってるワンカットのようなものが最も美しいということがありますが、終盤で一条蘭世さんがワンカットでも出てくれば、それがはなさん達側の解答です。そのワンカットでジョージさんを反駁できます。

 10年どころか、15年経っても、プリキュアに「一緒」にいてもらっても(プリキュアシリーズを視聴していても)、我々は子供の頃に夢見たヒーローみたいな人間にはなれなかった。そうだとしても。切り過ぎてしまった前髪のように「当初イメージしていた未来が思ったように実現できない」としても、今の自分なりに「やり直し」の時間を生きていく。当初想い描いた天使のヒロインになれなくても、思いがけず巡ってきた「小悪魔役という思いがけない未来」を、それはそれで丁寧に演じてみる一条蘭世さんのように。


 「まあ、頂いた役はきっちりやり遂げますが」(一条蘭世)(『HUGっと!プリキュア』第7話)


 つまり、「プリキュアの戦いは無意味だ」に対する結論は、

 確かに、無意味だったかもしれない。だが、その無意味と絶望に落ちた淵から「やり直し」ながら生きていける「余裕」(=「避難所」)(=「プリキュアシリーズ」)を守ることにはきっと意味がある。

 Space、余白、余裕、宇宙。

 ゆえに、プリキュアシリーズは『スター☆トゥインクルプリキュア(公式サイト@東映)』へと続くのであった。

→Blu-ray@『映画HUGっと!プリキュアふたりはプリキュア〜オールスターズメモリーズ』



→ボーカルベスト

HUGっと!プリキュア ボーカルベスト
ヴァリアス
Marvelous Entertainment Inc.LDC(PLC)(M)
2019-01-16


 ライブドアブログのトラックバック機能がなくなっちゃったので、長年の友人のプリキュア民(笑)たちの感想にもリンク張っておくよ〜↓

HUGっと!プリキュア #46「クライ、ふたたび!永遠に咲く理想のはな」/『真・南海大決戦』
HUGっと!プリキュア 第46話 クライ、ふたたび!永遠に咲く理想のはな/四十路男の失敗日記
HUGっと!プリキュア第46話感想&考察/あおいろ部屋

 あと、今年も実験的にしばらくコメント欄を開けておいてみるので、何かプリキュアの話とかありましたら〜。

Amazon・ビデオでプリキュアシリーズを観る(初代〜ドキドキ!へのリンクまとめ)

→前回:『HUGっと!プリキュア』第22話「ふたりの愛の歌!届け!ツインラブギター!」の感想へ
→次回:HUGっと!プリキュア第47話の感想〜はながイジメられてしまう構造の世界で「やり直し」ができるように愛を守る(ネタバレ注意)
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