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 相羽です。

 『スター☆トゥインクルプリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』第5話「ヒミツの変身☆お嬢さまはキュアセレーネ!」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 香久矢まどかさんが初変身するお話です。

 一見したまどかさんの美点である、弓道、茶道、勉強、生徒会が、父に言われる通りに「型どおりにやってるもの」という点で、ネガティブなニュアンスにも映る……というテクニカルな組み立てのお話でもありました。

 香久矢まどかさんというキャラクターのコア、課題、物語などを端的に表現しているであろう今話のアバン。印象的に、弓道をするまどかさんが、「的(=型どおり……という象徴)」を外すことも検討するかのようなカメラワーク(まどかさんの視線)を見せた後、まどかさんは結局矢を「的」にあてる……という様子が描かれます。

 タイミングを合わせて、父親の香久矢冬貴さんも登場です。つまり、アバン時点では、可能性として父が示している「型どおり」から外れることもあり得るけど、結局「型どおり」をまどかさんが選んだ……という表現になっている模様です。

 その流れで、本編でも父親が示した「型どおり」にだけ生きているまどかさんが、若干ネガティブなニュアンスともとれる感じで描かれていきます。

 弓道、茶道、勉強、生徒会で活躍している姿が描かれいくのですが、まどかさん本人の顔も心から晴れやかという感じでもなく、BGMもなんか物悲しい表現になっています。

 生徒会のシーンでは、褒め称える生徒たちをよそに、まどかさんは自分の世界の中……と父親が示した「型どおり」とまどかさん個人との間のギャップも描かれていたりします。

 その流れから、今話の物語の「転」の一回目。

 父親が示した「型どおり」のまどかさんが揺さぶられるイベントが描かれます。

 一つ目は、まどかさんがフワの存在を可愛いと思ってしまったこと。

 フワ=宇宙人です。

 父親が示す「型どおり」の文脈からいえば、それこそ「的」や「型」を乱してしまう、地球の物理法則の外側の存在です。でも、まどかさんは可愛いと思ってしまった。父親が示す「型どおり」と、まどかさんという「個」が、ズレはじめます。

 トドメに、まどかさんを撃ち抜く言葉の矢がひかるさんから放たれるイベントが追い打ちをかけます。


 「先輩はどう思ってるんですか?」(星奈ひかる)


 父がどうこうじゃなくて、香久矢まどかさんという個人は、一つの独立した心の「宇宙」を持つ人間は、フワに対してどう思ってるのか。他者に対してどう思っているのか。自分の生き方についてどう思っているのか。

 星奈ひかるさんという、香久矢まどかさんとは逆のタイプの、「的」にあてるっていうか、空に向かって矢を放ったり、なんか宇宙に向かって矢を放ったりしそうな、自由で無制限の想像力を携えた女子。

 星奈ひかるさんが香久矢まどかさんの自分でも知らない心の奥の扉を開いていく……というのは百合ですね(え)。

 この二つのイベントを経由した後、再び射場での弓を射るシーン。

 まどかさんは矢を「的」から外してしまいます。

 「的」は父親が示す「型どおり」の象徴ですから、アバンの時とは違って、まどかさんが二つのイベントを経由して父の呪縛から逃れ始めているのが表現されています。「的」を外すことも、捉えようによってはポジティブに捉えられるというのは、テクニカルな表現が多いプリキュアシリーズっぽいと思ったのでした。

 かくして、物語は初変身の場面へ。

 ひかるさんは、まどかさんに直球でフワたちのことは「秘密」にしておいてくれとお願いします。


 「フワとララとプルンスといっしょにいるって。 フワを守るって。決めたの」(星奈ひかる)


 宇宙人(「境界」の外の存在)ともいっしょにいたいとナチュラルに語るひかるさん。家族の、香久矢家の中(「境界」の内)だけでの閉じた「いっしょ」を父に宿命づけられているようなまどかさんとは、真逆の女子。

 でも何故か、「いっしょ」にいたいという気持ちは同じで、それを守りたいというのは、「境界」の中とか外とか関係なく、普遍的に大事な気がする……。

 その流れからテンジョウさんが襲来。フワ(=まどかさんの「個」としての感情(可愛い)の象徴&「境界」の外の存在の象徴)がピンチになったその時。

 スターカラーペンダントが現れて、決断をまどかさんに迫ります。

 ひかるさんとしては、


 「なって、プリキュアに」(星奈ひかる)


 第2話(感想)でララにかけた言葉と、趣旨はだいたい同じ。自分の心の「宇宙」を尊重せよ(プリキュアになって自分の「個」を守れ)ということをまどかさんに言います。

 それでも、一瞬カットインする父親の姿、言葉。まどかさんの刹那のためらい。

 それでも、最終的に。


 「私はこの子を守ります」
 「私はそう、決めたんです」(香久矢まどか)



 父親が示す「型どおり」から離れるという決断。自分で自由に理想の自分自身を想い描く(プリキュアになる)という決断。子供時代の、終わり。かくして、まどかさん変身。

 ここまでだと、香久矢まどかさんというキャラクターの物語は父親の呪縛を断ち切る物語なのかな? とも思ってしまうのですが、バトルシーンにて、今回二回目の「転」が描かれます。


 「見える。動きが。」
 「お父様は、上に立つために人の気持ちを知るようにと仰っていました。知ったからこそ、私はフワを、みんなを、放っておけません」(香久矢まどか/キュアセレーネ)



 父親が示してくれていた「型どおり」も、それはそれで生きていた、まどかさんを守ってくれている……と、もう一度物語の動力が「転」じます。

 父親の呪縛を断ち切って変身しつつも、まどかさん=キュアセレーネが使う武器(セレーネアロー)は、父親が示してくれていた「弓」です。

 両義(りょうぎ)、ということ。

 父親が示してくれていた「型どおり」から解放されつつも、同時に父親が示してくれていた「型どおり」と再契約する……ということ。一見矛盾する要素が、相補い合う。第2話の感想でも書いてましたが、やっぱりちょっとブディズム(仏教)っぽいですね。

 エピソードのラストは、「秘密」がなかった(はずの)香久矢家で、まどかさんはお父さんに「秘密」を持った……というシーン。

 この場合、「秘密」は「心の仕切り」のようなものです。

 僕のメインブログのコードギアス感想(こちら)とか読んでくださっていた方にはご存じの通り、「秘密」がまったくないという状態というのは、自分の心と他者の心が同じになってしまっているという点で、「個」、「アイデンティティ」がないような状態ともとらえられてしまい、それもどうなの? という感じなのです。

 自分の心に、他者の心には見えない「秘密」がある。自分の心の「宇宙」と他者の心の「宇宙」は「違う」。それが、「個」、「アイデンティティ」がある……という状態です。

 長年のプリキュア感想とか書いてた友人たちにも、お子さんとかいる方も増えてきましたから、親目線からみると、うわーん、親から生まれ、何でも親の言うこと聞いてた子だったのに、いつしか親に「秘密」を作り、独立した心の「宇宙」を持ち、やがて勝手にプリキュア活動とか始めちゃうのね〜ん……という感じですが、それで良かろう……という方向がプリキュアシリーズでもあるのでした。

 親にできるのは、子が親とは違う自分の心の「宇宙」を持って進み始めた時に、ちょっとでも「お守り」になるように、まどかさんが父親が示していた「弓」で大事なものを守れたように……できるだけ、愛情というリソースを乗せて子に武装を積ませておくしかないのであった……。

→上北ふたご先生の「オールプリキュアイラスト集」第2弾がもうすぐ発売

 個人的に、上北ふたご先生の絵は模写したり、めっちゃ隅々まで見てますw



→コミックス版『HUGっと!プリキュア』第2巻ももうすぐ発売



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