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 相羽です。

 『トロピカル〜ジュ!プリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』第43話「潜り込め!深海の魔女やしき!」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 本作において、涼村さんごという「紫色のチューリップが好き」といういっけんマイノリティ的な「個」が同定され、尊重され得るのは。

 逆説的ですが、他の数多の「赤いチューリップが好き」というマジョリティ的な他者たちを鏡として参照できるからです。

 「個」というのは、「他者の集団」を前提としなければ、認識もされないし尊重もされ得ない。

 生まれた時から近代社会で暮らしている我々視聴者は間違って、まずいきなり「個」があって、それが集まって「集団(社会)」になるのかな? と思い違いをしがちなのですが。

 人類史をさかのぼって普遍的な観点からみていくと、それは違います。

 そもそものことを言い出すと、最近の脳科学とかだと、「個」というか「自由意志」も存在しないか、あるとしても微小という見解が現在は優位だったりしますから。

 近代的自我とか、ここ百年ちょっとくらいの幻想の可能性が高まってきていますから。原始人類にそういうのとか、なかったっぽいですから。

 人類史的・普遍的には、実はまず「他者の集団(社会)」があって、その中で役割的に「個」というものが「位置として」決まってくる。決まってくる、というか観測可能になってくる。

 『トロピカル〜ジュ!プリキュア』でも、後半は「他者」にまつわる話が多かったですし、「鏡」がギミックになっていて、「鏡」に自分と他者が両方映ってる……という演出が多用されていたのとかはモロだと思います。

 そういうわけで、「他者」を前提にして「個」を捉え直した涼村さんごが自分自身の本来性に立ち返れた一方で、「他者」と切り離されていったあとまわしの魔女は、「個」としての自分自身のことさえ忘却している……という最終対立項になっていると思います。

 (おそらく)伝説のプリキュアさんと切り離され、隔絶された部屋で他者と隔離され、今回はチョンギーレさんという部下もヤラネーダ化され……と、「他者」性がどんどん喪われていくあとまわしの魔女さんに対して。

 伝説のプリキュアさんの「代替」として誰か(やっぱりまなつさんかな?)が「他者」性を補填してあげて、あとまわしの魔女さんが「個」、つまり自分の「名前」を思い出すというラストでしょうか。

 まなつさんの「最初に名前を聞くことにしている」という設定も全部生きてきて、構造として美しい終盤に向かっていると思います。

 あとは、エモーショナルな方向でも何か最後に炸裂させてくれたら最高の視聴後感になりそうなのですけどね〜。

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