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 相羽です。

 『トロピカル〜ジュ!プリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』第45話「やる気大決戦!輝け!トロピカルパラダイス!」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 最後に炸裂する「トロピカルパラダイス」は、ギャグっぽくはあるものの、


・その存在の「本質」にこだわりすぎないこと(「人魚」は「人間」にも「プリキュア」にもなれないとか、チューリップだったら赤色じゃなきゃとか、そういうこだわりから自由であること。)。

・存在が所属する「共同体」の移動を希望する時は代償を求めずに(アンデルセンの『人魚姫』問題)、どんな存在でも移動の過渡期に受容できるような「居場所(まなつさんや、トロピカる部)」が大事であること。


 の二点がエッセンスであった作品であることを踏まえると、「本質」にこだわりすぎないような大らかさ/ゆるやかさと、どんな存在であれ(それこそ魔女様であれ)受容してくれそうな愉快なノリに包まれていて、フィナーレとしてかなりイイなと思いました。

 キュアオアシスさんもちゃっかり出てきてたので、アウネーテさんはノリの方向性(愉快なノリで踊りくるって、魔女様と友だちになろう!)としては間違ってなかったものと思われ。

 やはり、前回の感想で書いた通り、リソース(仲間)が足りなかったのがアウネーテさんの反省点かと思われ。仲間といっしょに踊っていれば(今回はまなつさんたちがいっしょに踊ってくれた)、世代を超えなくても、アウネーテさんの代で魔女様と友だちになれていたのかも。

 そんな「トロピカルパラダイス」の前にやぶれたバトラーさんは、自分のやる気を注入して愚者の柩の解放を試みるも、果てて、もう「破壊」とかどうでもいいや〜状態に。

 バトラーさんにとっては「破壊」はしょせん(魔女様からの)借り物(偽物)の「本質」衝動ですからね。

 そこまで、エネルギーは持続しない。

 やや個人的なイメージで申し訳ないですが、キングコング西野さんやホリエモンさんを信奉して「俺がやりたいこと!」とかを語って行動に移す人間が長続きしないリアルの現象などを皮肉っているような気もします。

 じゃあ、バトラーさん本人の「本質」って何だったんだろう? というのが次の物語となり得ますが、この作品はまなつとローラの物語なので、そこは描写されなくともよいのです。

 が、「受け継ぐ」という要素は一見同じながら、キュアオアシスさんからまなつさんに受け継がれた「友だち」になりたいは大事な善性として成就し、バトラーさんが受け継いだ気になった魔女様からの「破壊」衝動は、バトラーのエゴだったと棄却される……この違いは学びになります。

 やはり、バトラーさんは自分の思考枠組みの中だけという檻の中に閉じこもって判断をくだすというエゴに陥っており、まなつさんたちは(エゴとしての)自分のやりたいことをやってるというよりはもはや神様の声をきいているがごとく、自己を超越した世界(よく感想で使っていた「他者性」という言葉もこれに入るかと思います)に開けた態度でトロピカっていた……というのは大きいかと思います。

 プリキュアシリーズでは、基本的には「エゴの檻」はネガティブに描かれる場合が多い(それこそ、『Yes!プリキュア5GoGo!(感想)』のエターナル館長とか)ので。一方、まなつさんがキュアオアシスの夢をみる、時空を超えてアウネーテとまなつさんが同じ存在になる……とかは、かなりダイレクトなアニミズム的・トーテミズム的な方向での自己を超越した「他者性」の表現です。

 「受け継がれてきた自身の本質です(キリッ!←こだわり)」とかが、マーケティングの影響を受けただけのものだったり、親からの刷り込みだったり、ファッションな信奉に過ぎなかったとかは現実でもありがちなので、そういうのと、自分の本来の本来性(まぎらわしいですが)とを見分けていく「目」の良さは養っていきたいという警句にもなり得るのでした。基本的には、作中のように経験を通して本物に触れ続けて「目」を良くしていく(自分から自分自身に向けられるものも含めて)しかない。(自己を超越して、神様の声や他者性の声を普通に聴けるという人はもちろんその方向でイイと思いますがw)

 ラストは、ローラにグランオーシャンに帰るか人間の世界に残るかの選択が迫られ、これまで、「人魚」「人間」「プリキュア」は、ローラの中で「全体性」として調和していたのに、


参考:『トロピカル〜ジュ!プリキュア』第17話の感想〜ありのままの自分でいられる「居場所」をくれた愛する人を守るという2021年の『人魚姫』(ネタバレ注意)


 やっぱりそれらはバラバラで分断されたものなんだから、「選択」で選べ、それが世界さ競争原理でバトルロイヤル! 聖杯戦争! 仮面ライダー龍騎! アンデルセンの『人魚姫』問題! 的なテーゼが今一度浮かび上がってきたところで、次回終劇へ。

 第16話(感想)時点では、みのり先輩も言っておられました。


 「何か望みを叶えようと思ったら、別の何か大事なものを失わなくちゃならないのかもね」(一之瀬みのり)


 この命題に対してローラが答えを出すバックボーンは、これまでの物語で十全に描ききっていると思います。

 存在の本質を勝手に決めるな、存在が所属する「共同体」の移動を求めた時に代償を求めるなという話だから、ローラが本質を縛られず代償を払うことがなければ、表面的にはグランオーシャンには戻っても戻らなくてもハッピーエンドなんですよね。

 最終回、近年恒例の新プリキュア、怪奇・ごはん娘さん(和実ゆいさん/キュアプレシャス)の登場はあるのかも含めて、楽しみなのでした。

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→前回:『トロピカル〜ジュ!プリキュア』第44話の感想〜破壊を本質とする存在に人魚の「居場所」になった人間が抱擁を贈る2022年の『人魚姫』へ
→次回:第46話(最終回)「トロピカれ!わたしたちの今!」の感想へ
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