相羽です。

 『デリシャスパーティプリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』第13話「うばわれた思い出を守れ!明かされる拓海のヒミツ」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 拓海の白仮面(仮)がどういった存在なのか?

 実はTwitterの方で1週間にわたり(笑)核心となるであろう考察を行っておりましたので、まずは前提としてそちらの方を共有させて頂きます。

 ポイントは、本作では「白」という色に何重もの象徴的な意味合いが込められているという点です。

 まず、拓海の白仮面(仮)は仮面がブンドル団っぽかったりしますが、拓海自身がブンドル団どうこうというよりも、前回第12話でマリちゃんも(ブンドル団が使っていた)心を操る術について知っていたり、ブンドル団自体がクッキングダムから別れた革命勢力で、拓海および父の門平はその源流の力(デリシャストーンの力関係もこれと思われる)を託されてるっぽいです。

 そして、その「源流の力」とは、どうやら「白」と「黒」の対になる力であるようです。ブンドル団の衣装が黒が基調なのに対してクッキングダムの正装(マリちゃんが肩からかけてるやつ)は白が基調っぽい点からも伺えますし、加えて、光(白)と闇(黒)の相克と両義……というモチーフは、プリキュアシリーズの原点(『ふたりはプリキュア』&『ふたりはプリキュアMaxHeart』)にもそう形の構図となります。

 前回第12話で菓彩あまね&ジェントルーに取りついてた「黒」いハートは錠っぽいモチーフで心を閉じ込める力だったので、「白」系の拓海&門平の力は「心を解放するような志向性の力」であると推定されます。

 本作では「白」には特別な意味合いがあります。メインプリキュア4人はピンク、青、黄、紫(たぶん…キュアフィナーレもカウントしてしまいます)だけど、「白」にはもう一層奥の意味があって、拓海の「白」仮面にキュアプレシャスは「白」米モチーフに、コメコメは特別なエナジー妖精で「白」色です(ゆえにコメコメで変身するプレシャスにだけは白仮面と同系の何らかの源流の白の力の変身(?)もあったりする感じかもです。)。

 今回第13話登場の菓彩あまねの兄の菓彩ゆあん&菓彩みつきが黒白モチーフのキャラクターでもあります。双子なので元は一つの所から別れた要素も満たしていて、物語全体の暗示をになっていると解釈するのに十分です。『デリシャスパーティプリキュア』は随所で『初代』の光(白)と闇(黒)の相克と両義……ネタを扱っている作品で、そこで「メタフィクション」の領域まで解釈の射程を伸ばしてみるなら、つまり源流の「白」と「黒」とは、視聴者たちが子どもの頃に観ていた『初代』のキュアホワイトとキュアブラックが連想できるということです。

 よって、今回の第13話はこの物語は源流で別れた「白」と「黒」が大切な思い出(それこそ視聴者が観ていた昔のプリキュアシリーズの記憶とか)を媒介にして再び集まるまでの物語である……と表明する感じのエピソードであるとメタフィクション込みで解釈できそうであるのでした。

 ……と、ここまでが前提として押さえておきたい、今回の第13話を観る前の時点で考察していた事項です。

 で、実際に第13話を視聴してみてどうだったかというと。

 やはり、今回のエピソードは焦点があたるレシピッピがしらす丼のレシピッピだったりして、やはり「白」がモチーフとして強調されています。しかも、しらす丼のレシピッピは、ストレートに拓海の父と母、門平とあんが出会った20年前の思い出、リアルだとちょうど初代『ふたりはプリキュア』が放映されていた頃の思い出の象徴として位置づけられています。

 ここからもうちょっと踏み込んで考察していくと、拓海の白仮面(仮)は、ここまで白仮面と呼称してきましたが、厳密にはシューズや二つある胸のリボンのうちの一つは黒であり、正確には「白」と「黒」の調和・両義フォーム、みたいな感じです。

 よって、この「白」と「黒」の調和・両義……というモチーフが、物語全体にかかってくるとすると、やはり、源流にあった「白」と「黒」の対の力が、クッキングダムとブンドル団とに別れ、そして、ふたたび再合流するまでの物語が本作である……という象徴と表明をになっているのが、今話および品田拓海というキャラクターだと推定されるということです。

 ここで、古参のプリキュアシリーズファン向けに、かなり飛ばした話(笑)をしてみますと、そう、伝説の初代『ふたりはプリキュア』第8話を、物語全体でやろうとしているのが『デリシャスパーティプリキュア』という作品なのです。な、なんだってー!?

 『初代』第8話は、ざっくりとは美墨なぎさ/キュアブラック(黒)と雪城ほのか/キュアホワイト(白)がいったんケンカして離れてから、また仲直りするまでのエピソードです。

 そこから『デリシャスパーティプリキュア』の物語全体に目を向けてみますと、やはり、おそらくクッキングダムの力(白)とブンドル団の力(黒)がケンカ別れしてから、何らかのカタチでの再合流を果たすまでの物語であると示唆されていますし。

 ミクロに今話の描写にのみ目を向けてみても、第1話のゆいが泣いていた回想は、ゆいと拓海のケンカから仲直りの過程であったことが今回明らかとなっております。

 そして、ゆいと拓海のケンカによる「分断」を橋渡ししたのが、ゆいのおばあちゃんの「ごはん(おにぎり)」なので、やはり第1話の感想(こちら)から書いている通り、本作は、「ごはん」を媒介に、「分断」状態にあった人々が「再集合」する物語なのだと、ますます確信をもって考察するようになってきた次第なのです。

 で、上記のように、拓海の白仮面(仮)は、「白」と「黒」の調和・両義フォームみたいな意味合いでありつつも、やはり面積としては「白」が多く、心持ち拓海が担っているテーマは「白」よりであろうとも推定されます。

 では、メタフィクション的に初代『ふたりはプリキュア』&『ふたりはプリキュアMaxHeart』まで射程に入っていると推定した場合、「白」の力とは何なのか?

 それは、すなわち、雪城ほのか/キュアホワイトの力、ということになるので、つまりは『ふたりはプリキュアMaxHeart』最終回の雪城ほのかの伝説の台詞、


 「わたし達の心の中の宇宙は誰からも自由だわ」(キュアホワイト)


 の意味合いを象徴的に持った力、ということになります。


参考:闇夜に浮かんだ虹の架け橋ここに降りて奇跡☆/最終話「扉を開けて!ここから始まる物語」/ふたりはプリキュアMaxHeart感想


 前回描かれた「黒」の力、あまねの「心の自由」を閉じ込めた力と反対の力ということになって綺麗ですし、今話ラストでも、拓海はゆいが「自分の意志でやっている(つまり、心の中の宇宙の自由が前提)」という点に非常に重きを置いています。

 ゆえに、品田拓海というキャラクターがになっている「白」の象徴=20年前(リアルでは『初代』がやっていた頃)に「固定観念」から自由になって結ばれた拓海の父母、門平とあんの「心の自由」を乗せつつ、リアル的には雪城ほのか/キュアホワイトの意志もがメタに反映されているような、「思い出」と「愛する者」を守る力……ということで、僕的には全てのピースがハマった感覚を現在覚えております。

 次回、分断された「白」と「黒」を調和・両義に向かわせてゆくために、「(主には)白」の力を纏った拓海出陣で第2クールへ。

 極上の物語を目撃している実感があったりな、第13話視聴の感想でありました。

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『デリシャスパーティプリキュア』第13話時点での考察のまとめ/togetter

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→前回:『デリシャスパーティプリキュア』第12話の感想〜キュアフィナーレに向かって、バラバラだった人間、家族、運命などがもう一度集まりはじめるお話へ
→次回:『デリシャスパーティプリキュア』第14話の感想〜仮面で隠した小さじ一杯の本当の気持ちを胸に拓海が一つ歩を進める話へ
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