『デリシャスパーティプリキュア(公式サイト@東映/公式サイト@朝日放送)』第14話「初恋ってどんな味?恋するキモチと拓海のこたえ」の感想です。
ネタバレ注意です。
当ブログでは「白仮面(仮)」と仮に呼称していた拓海のOPのスーツ姿の名は、「ブラックペッパー」と判明。
服の面積的には「白」が多いけど、名前には「ブラック」が入っているということで、前回の感想で考察した本作における「白」と「黒」の象徴的な意味合いは、けっこうその通りなのでは!? という雰囲気となってきました。↓
参考:『デリシャスパーティプリキュア』第13話の感想〜別れた「白」と「黒」が引き合い始める初動のお話
加えて、今話を視聴して思ったのは、この「白」と「黒」の(象徴的な)話に、本作のテーマであると広報されている「シェア」と(それと対照される)「独占」の話も関わってくるのかなと。
本作において仮面(ジェントルーもつけていて、ブラックペッパーもつけてる)は「小さじ一杯」の本当の心を隠してる記号として機能しています。
なので、拓海の本心はゆいに告白したい(作品のテーマ上「独占したい」ニュアンスが含まれる)なのだけど、物語上の現時点では愛する人を影から守るというヒロイズムに逃げている状態です。
拓海に欠けているものを補ってくれる存在はゆいですが、別の視点からはゆいに欠けてるものを持っているのも拓海という構図です。
前回の感想で考察した、バランスが崩れて分断された「白」と「黒」が再び補い合うまで……という物語全体の流れが、キャラクターレベルにも反映されているカタチです。白米で「白」のプレシャスと「ブラック」ペッパーは、何らかの意味で補い合う存在として登場してきていると思います。
心持ち、ゆいは現在「シェア」に寄りすぎている印象を受けています。一方で、拓海は以前の感想で考察していた通り、「独占」の属性をちょっと持っている。なので、二つがうまいことバランスを取り合って、なんかイイ感じの調和した状態になっていったらな……とは、物語論上の予測半分、個人的な願望半分という感じです。
今話でゆいと拓海がすれ違い状態なのも、ゆいはもう拓海を(本間ともえさんに)「シェア」するよくらいの感覚なのに対して、拓海は、ゆいは俺のものだ! という「独占」の志向性がある(マリちゃんがゆいに関わるのも嫌がってるくらいの勢い)、というすれ違いなようにも捉えられそうですし。
そこで今回気になったのは、マリちゃんとナルシストルーさんの、
「どんな思い出にも、気持ちにも、大切な意味があるのよ」(ローズマリー)
「ハッ、君たちっておめでたいな!」(ナルシストルー)
というやり取りです。
これは、ゆいたちやマリちゃんが「思い出」を守るべき大事なものとして捉えているのに対して、つまりナルシストルーさんの方は「思い出」をネガティブなものとして捉えている。
最近のストーリーは全て、第11話(感想)でゆいのおばあちゃんが言っていたこととして語られた、「(お米農家のような)目の前の事象としては見えない源流を想像してみよう」という話が全てにかかっているのが上手いと思いますが。
ナルシストルーさん(といかブンドル団)の源流を想像してみるに、「リソースは限られている」と感じる体験があったのかなと。ゆえに、(限られたリソースを確保するために)「独占」に走る。
一方で、ゆいたちは、この世界に全員分の十分なリソースはある(ただしちょうどよくシェアすれば)、奪い合わなくてイイ……という世界観で生きているように感じます。ゆえに、土台には世界への「信頼」があるので、「シェア」できる。
クッキングダムとブンドル団は、源流のあたりで何らかのこの世界観の相違(リソースが十分にあるのかないのか)で(「白」の力と「黒」の力に?)別れた感じなのかもなと。
となると、ブンドル団的なもの、「独占」的なもの、「黒」的なものの根底にあるのは、「おそれ」です。
宇宙には、十分なリソースがないのではないか? だから、奪わなくては、独占しなくては、コントロールしなくてはならないのではないか? という「おそれ」です。
その点では、拓海くんはまだ「おそれ」を感じていて、秘密にしているように感じますし(彼の部屋も、密室で秘密に満ち、作品テーマ的に今のところ「分断」「孤立」側のポジションになっている)、今話で本間ともえさんがみせた告白するという勇気の行動は、今の拓海にはない、世界への「信頼」、「小さじ一杯」の心をオープンにしても、世界は受け入れてくれるという「信頼」のもとでの行動です(具体的には、失恋も含めて何気ないゆい、ここね、らん、マリちゃんが受容してくれるというカタチで描かれる)。その意味で、本間ともえさんこそが、今話時点での作中是を体現しているとも言える。
このストーリーの流れで、おそらく同じく世界に対して「おそれ」を抱く立場になってしまっているだろう(あるいは、もとからつけ込まれるだけのそういう方向の何かがあったか?)菓彩あまねの物語に夏に向けて入っていくようです。
あまねはたぶん、「家族」の存在で世界への「信頼」を取り戻すのかなと予想していたりしますが(それゆえの、このタイミングでの双子の兄・ゆあんとみつきの登場)、あまねが「おそれ」を手放していく過程と、拓海が「おそれ」を手放していく過程とは鏡合わせみたいな感じで進行していくのかな? と思うと、プロットの作り込みが充実している作品だなと思ったりするところなのでした。
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『デリシャスパーティ?プリキュア』第1話の感想〜今日、大ごはん共同体が生まれた(ネタバレ注意) - 少女創作ファンブログ―The Girlls Fiction Fan Blog(GFFB) https://t.co/1g39Gzrcfb …ブログ更新です。 #precure #デパプリ
— 寂しいシロクマ(相羽裕司)/仙台市太白区 (@sabishirokuma) February 6, 2022
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●『デリシャスパーティプリキュア』第14話時点での考察のまとめ/togetter
→ボーカルアルバム
→Blu-ray予約開始
→前回:『デリシャスパーティプリキュア』第13話の感想〜別れた「白」と「黒」が引き合い始める初動のお話へ
→次回:『デリシャスパーティプリキュア』第15話の感想〜ここねとらんの異なるものが相補的になるまでを描く(たぶん)テーマ的に前後編の第9話と対応するお話
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