相羽です。

 『デリシャスパーティプリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』第17話「4人目のプリキュア!?あまねの選択」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 副会長・山倉もえさんの挫折は、ピアノコンクールで勝てなかったこと。

 これは、「コンクール」ですので、定番の「競争」要素ですね。

 難しく言ってみるなら、今回もこのあたりは「力の偏在」にまつわるお話であるということです。今の世の中、富とか力とかが偏って集まってしまっている。力が集まった側は「競争」で勝利し、集まらなかった側は「競争」で負ける。山倉もえさんは、負けた側の人間だった。

 『デリシャスパーティプリキュア』は要素として「力の偏在」も扱ってる作品だというのは、第3話時点の感想で書いたりしておりましたので、詳しく読みたいという場合はそちらをよろしくです〜。↓


参考:『デリシャスパーティプリキュア』第3話の感想〜芙羽ここねとジェントルーは富の格差(力の偏在)で翻弄され孤立するキャラクターとして重ねて描かれている


 そんな、力が集まらずに「競争」で負けてしまっていた山倉もえさんに、菓彩あまねさんはかつて、こんな言葉をかけていたという。


 「好きこそものの上手なれ、というだろ」(菓彩あまね)


 「競争原理」に翻弄される現代人たちが、過度の「競争」への志向を「好きという気持ち」で乗り越えていくという、この10年あまりの物語で描かれまくっている例の要素です。『響け!ユーフォニアム』です。


(余談:『響け!ユーフォニアム』だと「競争」の乗り越え方は3パターンくらい描かれているのですが、「好きという気持ちで突破」は久美子ルートですね。

参考:響け!ユーフォニアム最終回の感想〜ポニーテールと三人のハルヒ(ネタバレ注意)/別ブログ:ランゲージダイアリー


 ここで、かつて菓彩あまねが山倉もえにかけた言葉は、当然今となってはあまね自身にも向けられている……という描き方になっているわけで。

 山倉もえがピアノをやめそうになっていた状況と、菓彩あまねが生徒会をやめそうになっている状況も「自身の本懐を諦めそうになっている」点で重なっていますし、その土台には「おそれ」のようなものがあるのも共通しています。

 その状況に「好きこそものの上手なれ、というだろ」をぶつけてきているわけですので、これはもう、菓彩あまねにまつわる夏のクライマックス・キュアフィナーレ登場エピソードとは、「競争」で負けた? 「奪う」世界観に身を置いた(ブンドル団・ジェントルー時代)ことで「おそれ」を抱いている? この世は「競争」で奪い合いの世界だから、自分が好き(本懐)を全うするには、自分がそれを得るだけの価値がある存在だと証明しなくてはならなくて、今の自分にはそんな自信はない、とか思ってる? そういうのいいから、この世のキッチン(たとえね)には(奪い合いではなく)十分なリソースがあり(シェアできる世界観)、あなたは自由に組み合わせて(今話はパフェのレシピッピの造形など、「組み合わせる」がひとつの題材になっている)あなたの好き(本懐)を表現してイイんだよ、というお話であると思われます。

 そこで、次回サブタイトルが、「わたし、パフェにないたい!輝け!キュアフィナーレ!」ということで、菓彩あまねの「好き(本懐)」とは、イコール、「パフェ(の象徴)」である! という感じで変身となる模様です。

 くわえて、『デリシャスパーティプリキュア』は、価値観が多様化したり、コロナ禍でディスタンス(距離)が常態化しはじめたりして「バラバラ」になってしまった現代の人々が、「ごはん(=昔、子供の頃にみんなで食事して楽しかった幸福な思い出)」というそれでもまだみんなが共通して持っている記憶という旗印のもとに、再び集まってくる、「再集合」する……というコンセプトの作品なので、「パフェ」には、「思い出」とか「子どもの頃の幸せな時間」とかのニュアンスが入ってきそうです。

 そこに繋げていくために、今話では、キュアプレシャスとブラックペッパーという二人の「子どもの頃の幸せな時間」組(ゆいと拓海の「幼馴染」という要素はこれの表現ですからね。)が、組み合わさっていっしょに戦うというのが描かれているのだと思います。

 そして、菓彩あまねの「子どもの頃の幸せな時間」要素は、前回の感想から予想しているとおり、「家族」、つまり兄の菓彩みつきと菓彩ゆあんとの時間だと思われるので、もう、次回は「パフェ」に「好き」とか「本懐」とか「(固定観念からの)自由」とか「奪い合いではない世界観」とか、「子どもの頃の幸せな時間としての『家族』」とか、これまでの劇中のあらゆる善なる要素を乗せて、キュアフィナーレ登場という展開となりそうです。

 キュアフィナーレのデザインというか造形というか、明らかに今回出てきたあまねが子どもの頃から見ていたパフェのレシピッピがモチーフになってるので、「子どもの頃の思い出のイメージを、今、奪い合いの世界観の制限を外して自由な組み合わせでもう一度表現する、大人になる過程で力の偏在にまつわるあれこれ(ブンドル団関係)に飲まれて『おそれ』を抱いたりしたけど、今、私はもう一度パフェになる!」で全てのピースがカチっとハマる感じなのですよね。

 そういうわけで、次回は全プリキュアファンがキュアフィナーレのもとに集合です(笑)。「みんなあつまれ!」ということで、僕もタイムリー視聴しようと思っているのでした。

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『デリシャスパーティプリキュア』第17話時点での考察のまとめ/togetter

→キュアフィナーレ(キュアフレンズぬいぐるみ)



→Blu-ray予約開始



→前回:『デリシャスパーティプリキュア』第16話の感想〜高木家の兄弟の分断をらんが肉じゃがで繋ぎ次回からの菓彩あまね兄妹愛エピソードに全力パスをおくる話へ
→次回:『デリシャスパーティプリキュア』第18話の感想〜人生上のクライシスを経験しても今から自分の本懐を表現してよいというお話へ
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