相羽です。

 『デリシャスパーティプリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』第35話「ここねとお別れ!?いま、分け合いたい想い」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 今話でも間接的なキーパーソンとなっているイースキ島のマイラ王女の物語、すなわち第31話「おいしーなタウンの休日 プリンセスゆい!?」とは、「自分の居場所との再契約」のお話でした。

 マイラ王女はゆいとの「入れ替わり」劇をとおして、イースキ島という自分の魂が求める本当の居場所を再確認する。マイラ王女の居場所の再確認をとおして、ゆいの居場所である「おいしーなタウン」が改めて浮かび上がってくる。そんなお話でした。


参考:『デリシャスパーティプリキュア』第31話の感想〜生まれた場所との再契約という拓海の物語に繋がりそうな前段階のお話へ


 そんな、「居場所」がキーワードとなるマイラ王女を絡めながら、今回はここねの「居場所」に関する物語です。

 だいたいの意味において作中で「居場所」=「パーティ(あつまり)」ですから、「分断」された状態からの「パーティ(共同体)」の再生……を主題として扱っている本作全体としても大きな意味があるエピソードであると言えると思います。

 結論から確認しておくと、「イースキ島で両親と暮らすという『居場所』」か「おいしーなタウンでゆいたち友だちと過ごす『居場所』」か? と一見二択に思われる認識の『先』を創造して、「イースキ島に向かう母はつこと、おいしーなタウンに残る父しょうせいとここね、そして友だちたち……と、リモート技術なども駆使して精神的・本質的な『パーティ』は維持する」という新たなる、当ブログの感想で使っていた言葉だと「大・共同体」へと踏み出す、というものでした。

 第20話では、ここねの二択(二項対立的な世界観)のブレイクが示唆されており、「一人」か「みんな」か? 「対面(物理的な集まり)」か「リモート」か? そういった二項対立ではない、その「先」だ! というのが描かれていました。↓


参考:『デリシャスパーティプリキュア』第20話の感想〜芙羽ここねと菓彩あまねの交流が徐々に二項対立を和らげ軽やかな世界を描き出してゆく


 今話はこれまでのここねの物語を踏まえた上での、芙羽ここねというキャラクターの一つの結末を描いた、という感じです。

 芙羽ここねさん。力が「偏在(かたよって集まる)」する(芙羽家がお金持ちでいわゆる勝ち組なのも物語上の一つの要素となっている……)現代世界の力学に巻き込まれて、孤立している、第3話(感想)ラストでは印象的に「孤食」しているシーンから物語が始まっている、というキャラクターでありました。

 その「孤立」「分断」状態から、「大・共同体」創造ルートへと向かっていくきっかけとして描かれていたのが、「自分の本当の想いを伝えること」、コミュニケーションをとること、でした。

 第23話では、子どもの頃にボールドーナツが欲しかったことを親に言えなかったここねが、時間を経てゆいたちと出会い成長して、ようやっと親に自分の本当の気持ちを伝えることができるようになる、というエピソードが描かれていました。


参考:『デリシャスパーティプリキュア』第23話の感想〜神の舌以前の「思い出」と周囲の助力で再会してディスコミュニケーションが解けていくお話


 すると、親、親の代の人たちも悪意があったわけじゃないことが見えてくる。

 今話でも、思い出のボールドーナツを印象的に親子で作りながら、「自分の本当の想いを伝えること」が描かれます。

 「過去(源流)」からの「呪い」という表現を当ブログの感想では使っていましたが、「親」から続いている「慣性」みたいなものを、変える、受け取り直す、ということを最初に選んだのが、物語冒頭ではわりと孤立気味で弱々だったここねである、というのがとても熱いと思った一話でした。


 「みんなここねの味方パム」(パムパム)


 ネガティブに思えたものは、コミュニケーションをちゃんととってみたら味方だったというお話なので、ここから物語全体の大きな話、クッキングダムとブンドル団の話も、シナモン代に何かしらディスコミュニケーションがあってなんかネガティブな感じになってるんだけど、ゆい代コメコメ代の選択で、前向きなものとして受け取り直して最後は「大・共同体」を創造、「パーティ(あつまり)」を再生する……みたいな流れになっていきそうでしょうか。

 そして、「大・共同体」にはリモート参加も含まれる。僕的には、最終的に描かれる「パーティ」では、ゆいのお祖母ちゃんがあの世からリモート参加するんじゃないかと思ってるんですが、まあそれって日本だったらお盆とか、死者との関係性(ゆいが第1話から守りたいと言っている、「大切な思い出」である)も込みで「共同体」は存在しているんだという、文化的、宗教的に普遍的な話だったりだよな〜と思ったりもするのでありました〜。



 その文脈からいくと、最終回で「法事」もわりとアリなんですけどね(笑)。

・Twitterもやっておりますので、フォローしてやって頂けたら喜びます〜。↓


・ブログに書ききれない考察を「つぶやき」で展開しておりました。「トゥギャッター」さんにまとめさせて頂いていたので、よろしくです(9000PV達成感謝!)。↓

『デリシャスパーティプリキュア』第35話時点での考察のまとめ/togetter

→キュアスパイシー



→『映画デリシャスパーティプリキュア 夢みるお子さまランチ!』のBlu-rayが予約開始です。

・当ブログの映画の感想はこちら。



→前回:『デリシャスパーティプリキュア』第31話の感想〜生まれた場所との再契約という拓海の物語に繋がりそうな前段階のお話へ
→次回:『デリシャスパーティプリキュア』第37話の感想〜ナルシストルーの失われた子ども時間との再会<br> →『デリシャスパーティプリキュア』感想の目次へ