相羽です。

 『デリシャスパーティプリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』第38話「おばあちゃんに会える!?おむすびと未来へのバトン」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 『デリシャスパーティプリキュア』は、第1話冒頭で、ゆいにとっておばあちゃんと生きた時間の象徴であるレシピッピが同年代の友人たちにはもう見えないということに、ゆいが少し悲しそうな顔をする……というところから始まっている物語です。



 ずっと、ゆいにはおばあちゃんを喪った喪失感とどう向き合うのか、という個別ストーリー(というか、主人公なので物語全体のメインストーリーとも直結している)がありました。

 今回は、その解が示されたお話。

 解法は、いわゆる「アニミズム」的な世界観でありました。

 プリキュアシリーズ自体が、ずっと「アニミズム」的な世界観を採用して作られているシリーズなのですよね。

 僕的に、一番「アニミズム」色が深いと感じるシリーズは、『魔法つかいプリキュア!』だったりします。


参考:魔法つかいプリキュア!感想/最終回「キュアップ・ラパパ!未来もいい日になあれ!!」(ネタバレ注意)


 そういう意味で、本作も、プリキュアシリーズ・オブ・プリキュアシリーズなのですよね。

 「アニミズム」、ざっくりとは八百万の神様的な世界観で、万物万象の様々なもの・ことに神様(的なるもの)が宿っているという、日本的な感覚です。

 「アニメーション」の語源になっているという説も、かなりの程度有力です。

 神様(的なるもの)に加えて、あんまり深くは踏み込みませんが、日本的には故人もいわゆる神様の世界に近しいところにいくんだという宗教観も一般的ですから、万物万象の様々なもの・ことに、我々が愛した故人の魂も宿っている、みたいな話となります。

 日本の「ものを大事にする」精神の源泉だったりする世界観ですね。日常の何気ないもの・ことに、神様や故人が宿ってるのだとするなら、もの・ことを大事にしよう、ということになります。

 今話で明らかとなったのは、ほかほかハート、レシピッピ、おいしーなタウンのそこかしこにある招き猫、こういったものは、上記のような「アニミズム」的な世界観にのっとって、神様(的なるもの)、故人(的なるもの)が宿っているような位置付けで作中では描かれているようだということです。

 そのような、「アニミズム」的な世界観にもとづいて、日常の何気ないもの・ことの中に喪ったおばあちゃんを見つけて、おばあちゃんの喪失というゆいの物語の課題が解消するエピソードだったわけですが、ゆいが何の中におばあちゃんを見つけたのか?

 言葉の中に見つけたのですね。

 「アニミズム」の神様や故人が宿る対象には、言葉も含まれます。だから、日本は「言の葉の国」なのですが。

 何気なく使っていたおばあちゃんの言葉たち、特に「ごはんは笑顔」の中に、ゆいは亡くしたと思っていたおばあちゃんを見つけた。もう、怖くはない、というのが今回のお話です。

 コメコメ1世がコメコメ2世に転生していて、しかも男の子→女の子と性別が変わってるあたりとか、本当に「アニミズム」色が強いエピソードでしたね。上記の『魔法つかいプリキュア!』最終回感想で書いたところの、みらいはリコだったかもしれないし、リコはみらいだったかもしれないというような文脈で、コメコメ1世はコメコメ2世だったかもしれないし、その逆もしかり、性別も逆だったかもしれないし、そうじゃないかもしれないし、とにかくコメコメ1世はコメコメ2世に「アニミズム」的に引き継がれている。

 しかし、以前から書いていたおいしーなタウンの大きな招き猫が最終決戦兵器説が、濃厚になってきました。

 ほかほかハート、レシピッピ、神様的なるもの、故人とのつながり、ゆいが「他の人にはもう見えない」と悲しんでいたものは、おいしーなタウンのそこかしこにある招き猫に宿っていて、最後は巨大招き猫に象徴されるかたちで「見える」ようになって(それは一瞬だけの、奇跡的なことなのかもしれない。それができるのなら、世界は平和になるのかもしれない。)、当ブログでずっと使っていた言葉だと「大・共同体」が再生されるという終盤にいよいよ向かっていきそうです。

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『デリシャスパーティプリキュア』第38話時点での考察のまとめ/togetter

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・当ブログの映画の感想はこちら。



→前回:『デリシャスパーティプリキュア』第37話の感想〜ナルシストルーの失われた子ども時間との再会
→次回:『デリシャスパーティプリキュア』第40話の感想〜おばあちゃんとの関係を昇華したイニシエーションを受けて、ゆいと拓海の関係も未来に向かいはじめるお話
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