相羽です。

 『デリシャスパーティプリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』第40話「俺に出来ること…ブラックペッパーと拓海の決断」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 セクレトルーさんの問題は、うちのブログの『デパプリ』感想で繰り返し書いてきたものだと、「固定観念」なんですよね。

 「(自炊も含めて)完璧であれ」という「固定観念」で、自分で自分を制限してしまっている。

 「(自炊も含めて)完璧であれ」は、初期(登場時)のあまねが壇上で訓示していた、「遊びに気をとられ勉学がおろそかにならぬよう。気を引き締めた生活を心がけてください」といった方向の「固定観念」です。


参考:『デリシャスパーティプリキュア』第5話の感想〜生徒会長(ジェントルー?)が促す「固定観念」から芙羽ここねが一歩自由になっていく様子が描かれる


(ただ、この頃はあまねがジェントルーとしての洗脳を受けていた時期なので、これらの考えが初期のあまねがこだわっていたものなのか、洗脳ゆえに出てきたものなのかは不明。)

 あまね(というかジェントルー)は、そういった「固定観念」から自由になっていく物語が主に前半で描かれていたのですが、セクレトルーさんは、これからその自分で自分に制限をかけている「固定観念」を外していく物語をやらなくてはならない感じ。

 回想の雰囲気的に、セクレトルーさんの彼氏さんが厳しい人物で自炊ができないセクレトルーさんに見切りをつけた……とかではなく(エプロンをつけていて、彼氏さんには協力する意識があったと思われる)、あくまでセクレトルーさん自身の「固定観念」の問題であったっぽい。

 ジェントルーとあまねの間で行われた「自分内対話」を、今度はセクレトルーさんがやらないといけないような作劇であると感じます。

 また、本作の一大テーマである「シェア」に関して、「シェアするリソースが足りなかったら?」問題をさりげなく扱っていたエピソードでもありました。スペシャルデリシャストーンの数は限られている、だったら「シェア」は不可能で拓海は、競争原理の中ではより優れた人物であろうマリちゃんにスペシャルデリシャストーンは渡さなくてはならない、全員に「シェア」はできない……

 というシチェーションで、過去からジンジャーさんの善意が、もう一つのスペシャルデリシャストーンというリソースが送られてくる、というかもともと財布の中にあったのに「気づき、受け取り直す」、よって「シェア」が可能になるというのが描かれます。

 深読みが過ぎるかもしれませんが、ここねの「お金持ち」という要素を資本主義世界(「分断」が生じやすい)の一要素として扱っていた面もあるであろう本作的には、財布の中、お金に目がいってるうちは見えてなかった「過去からの情愛、繋がり」のようなものが、よく見たらあった、受け取れるものだった……という描き方にも思えます。


参考:『デリシャスパーティプリキュア』第3話の感想〜芙羽ここねとジェントルーは富の格差(力の偏在)で翻弄され孤立するキャラクターとして重ねて描かれている


 かくして、「過去からの情愛、繋がり」を受け取りながら、いよいよ物語は、今の「愛」の話に。

 ゆいと拓海の話です。

 前回第39話が、おばあちゃんの言葉だけじゃなくゆい自身の言葉を加えはじめるというお話でした。過去を大事に受け取った上で、未来に向かって視線が向いてくるお話。

 これはゆいと拓海の関係に関して、幼馴染(過去からの文脈)としてじゃなく、ゆい個人にとって拓海はどういう存在なのか(未来への文脈)という話に入る儀式(イニシエーション)でもあったと思います。

 その流れからの、今話のゆいへの、ブラックペッパーの正体が拓海であると明らかになる展開。

 ゆいの反応は、泣く。

 これは、作中で繰り返されてる過去との繋がり描写説をおしたいです。

 第1話の過去回想から、ゆいは拓海の前だと泣ける。今回はその幼ゆい・幼拓海のシーンのリフレインになってますが、変わったことと変わらないことが意識される。おばあちゃんは亡くなったが、拓海はずっと側にいてくれた。

 前回のゆいの、おばあちゃんの言葉だけじゃなく自分の言葉も&相手の言葉も…という意識の変化、これはけっこう大変なことなんで気負いもあった気がするんですよね。そういうところにずっと支えてくれる人がいる(いた)というのは、やはり嬉しいと思いますし、また安心の涙とも。

 第31話で、拓海はゆいとマイラ王女の入れ替わりにすぐ気づいたけど、ゆいはこれまで拓海とブラックペッパーが同一人物だと気づいていなかった、というのがここまでの二人の関係です。


参考:『デリシャスパーティプリキュア』第31話の感想〜生まれた場所との再契約という拓海の物語に繋がりそうな前段階のお話


 ちょっとだけ(かなり!?)、拓海の愛の方が重いのかな。

 拓海、この人、好きな女性をエスコートできる素力はありやがる男ですからね。

 「セクレトルーと話がしたいんだろ?」のところイケメンでしたね……。このたとえでイイのか微妙ですが、お金に目がいってるうちは目がいかなかったスペシャルデリシャストーンと同じで、食べ物に目がいってるうちは(そんなに)目がいかなかった拓海への愛にゆいが目がいくようになるのが今話なので、拓海との関係を「受け取り直す」ことになるゆいが残りの話数でどんな感じになるのか、楽しみなのでした。

 そして、「過去」からの「受け取り直し」のお話。このブログで使っていた言葉としては、「呪い」として受け取るのか、「前向きな力をくれるもの」として受け取るのか、みたいな話、いよいよフェンネルさんが出てきて、最終章に入っていくようで。

 僕、第2話の感想から、物語の縦軸は、マリちゃん、フェンネル、シナモンの三人の話だって書いてましたからね!


参考:『デリシャスパーティプリキュア』第2話の感想〜今はバラバラな三人と三人を結ぶ幸せな記憶から贈られる言葉


 物語の収斂が、とても楽しみなのでした。

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『デリシャスパーティプリキュア』第40話時点での考察のまとめ/togetter

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・当ブログの映画の感想はこちら。



→前回:『デリシャスパーティプリキュア』第38話の感想〜ゆいが近くにあった言葉の中におばあちゃんを見つけるお話
→次回:『デリシャスパーティプリキュア』第41話の感想〜過去の人間関係のやらかしを引きずって感情を爆発させる大人たちの呪いに子世代は巻き込まれないといいね的なお話
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