相羽です。

 『デリシャスパーティプリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』第41話「メリークリスマス!フェンネルの大切なもの」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 過去のやらかしてしまった人間関係に大人になってからも感情を爆発させるおじさん、みたいな感じでゴーダッツ様が登場、子ども世代(ゆいたち)は巻き込まれる…という厳しい感じ(え)のクリスマスにして年末最後の放映回です。

 ゴーダッツ様=フェンネルだけでなく、やらかしてしまった人間関係を引きづってるっぽいのはセクレトルーさんも同様です。料理ができなかったこと自体というより、そのあたりのことで彼氏さんに当たり散らしてしまって人間関係を壊した…のが尾を引いているみたいな人っぽいです。

 彼氏さんとはいずれ結婚して、子を成して、マイホームで…、みたいな人生設計をしたりしていたのかもしれない。完璧主義のセクレトルーさんには、それが壊れてしまったことが許せない。彼女も「家族で家で手作り料理を囲んで温かいクリスマスパーティ」みたいな、今話のなごみ亭での風景のような、「当たり前の幸せ」とか言われがちのものからはあぶれた側です。

 でもそういう「当たり前の幸せ」とかは「固定観念」だからね、手放して自分なりの人生のかたちを全うしていってもイイよね、とずっと描いてきたのも本作。第5話のパムパムの、


 「普通に楽しく遊べばいいパム」(パムパム)


 が、まさに至言で、セクレトルーさんに必要なのは「パムパムみ」だった……。


参考:『デリシャスパーティプリキュア』第5話の感想〜生徒会長(ジェントルー?)が促す「固定観念」から芙羽ここねが一歩自由になっていく様子が描かれる


 いまだに世の中にあるらしい、何歳で何何して、何とかというフォーマットにのっとって、それが幸せのかたち、みたいなの、だいたいが「固定観念」にして余計なお世話ですからね。みんなもうちょっと、自分の内側の理(ことわり)を尊重してよい。

 個人的な話で恐縮ですが、僕とか、人生のフォーマットというか、学生時代から親の介護をはじめて一度も就職せず結婚もせずこうしてプリキュアの感想などを今書いておりますが、日々ヘラヘラと(え)「その人なり」の生を全うしていますからね。

 セクレトルーさん、料理は外注して、自分なりに全うしていこうぜ!

 ゆいとゆいの父、幼フェンネルと幼シナモン、「おむすび」が二人の間を媒介する…というのが二組の並行描写で描かれます。

 ひかる(ゆいの父)はゆい(子)からおむすびを受け取り、大変に感動し、フェンネルとシナモンの方は、何かのディスコミュニケーションが起こる(推定)という対比。

 総じて、ゆいたちは「当たり前の幸せ」に入れた側で、フェンネルさんとかセクレトルーさんとかは「当たり前の幸せ」とかを前提にされてしまうと、「やらかしてしまった」側の人たちです。プリキュアシリーズの長年のファンの方向けには、何らかの『映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』におけるミデン的なる要素も持ってるのも、また今回の敵側の特徴というと伝わりやすいかもしれない。


参考:映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズの感想〜子供の頃に思い描いた理想の自分にはなれなかったとしても(ネタバレ注意)


 ただ、フェンネルさんやセクレトルーさんの方の「固定観念」「人間関係のやらかし」「分断」といった事項に関しては、「固定観念」の手放しとか、コミュニケーションをとること、で、よくしていけるんだよ……ということもずっと描いていたのが『デリシャスパーティプリキュア』です。

 ここねさん関係のエピソードが最終局面でも生きてきそうなのがイイですね。「固定観念」の手放しとか、コミュニケーションをとることで、芙羽家は新しい食卓(パーティ)のかたちを創造したのでした。


参考:『デリシャスパーティプリキュア』第35話の感想〜芙羽家の新たなる食卓が創造され最後はゆいのお祖母ちゃんがあの世からリモート参加しそうな気運が高まってきた(え)ようなお話


 リモート込み家族のかたちもありなんだ! のノリで、料理外注パートナーのかたちもありなんだ! くらいのノリでの思考をセクレトルーさんも持っていきたい。

 特に、「人間関係のやらかし」は、うちのブログの感想ではストレートに「ケンカ」という言葉を使っていましたが、幼ゆいと幼拓海のケンカで幼ゆいが泣いてる第1話の回想シーンから、ずっと本作で描かれているのですよね。

 次回がキュアプレシャスVSブラックペッパーっぽいのですが、これは、ほぼ幼ゆいと幼拓海のケンカのリフレイン構造にして、大人になるタイミングでのゆいと拓海なりの儀式(イニシエーション)を兼ねて、「人間関係のやらかし」について昇華し、その昇華をフェンネルさんたちにも重ねていく……という作劇に思われます。

 ここにきて、人間関係の中でもやはり「親」と「子」は色々と重要な要素になってきているのは熱いです。子のおむすびに感動した親(ゆいの父)、親になれなかった女(セクレトルー)、親ポジション(ジンジャー)から何かを受け取り損ねたまま親世代になった男(フェンネル)、様々だけど、親世代の「呪い」を子世代に受け継がせちゃいけないって話になっていきそうですかね。

 感想で書いてた通り、ナルシストルーが親ポジション、スピリットルーが子ポジションになってると思うのだけど、まさかのあまねのりんご飴で心が解放されたナルシストルーこそが子にかけてた呪いを解く立ち位置になりそうでフライングで感動しております。


参考:『デリシャスパーティプリキュア』第37話の感想〜ナルシストルーの失われた子ども時間との再会


参考:『デリシャスパーティプリキュア』第27話の感想〜らんのハッピーが伝わりコメコメは自分の本来性を受け取り直し、スピリットルーはナルシストルーの呪いでまだ閉じたままというお話


 そしてこれから親になっていく二人(ゆいと拓海)に、愛のかたちは違うであろうマリちゃん(子をなしたシナモンとの対比)に、呪いとか色々あっても、同時に何があろうと世界に息づいているおばあちゃん世代(ジンジャー世代)の善意(ほかほかハート、レシピッピといった表象をとってると思われる)に、と…残り4話かな? 物語の最終章、楽しみです。

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『デリシャスパーティプリキュア』第41話時点での考察のまとめ/togetter

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・当ブログの映画の感想はこちら。



→前回:『デリシャスパーティプリキュア』第40話の感想〜おばあちゃんとの関係を昇華したイニシエーションを受けて、ゆいと拓海の関係も未来に向かいはじめるお話
→次回:『デリシャスパーティプリキュア』第43話の感想〜自分は愛し愛される価値がある人間だと証明する必要があるという強迫観念に囚われることなんてなかったのだといったお話へ
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