相羽です。

 『ひろがるスカイ!プリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』第15話「超巨大ランボーグ大爆発!?守れスカイランド!」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

●「母的なるもの」・シャララ隊長との(いったんの)別れ

 シャララ隊長の(おそらく一時的な)喪失という、まさに第2クールは「母的なるもの」との別れから始まるという、ずっと最近のYouTube Live配信で言っていた感じの展開になってきております。

 ここでいう、ソラさんにとっての「母的なるもの」というのは、もちろんソラさんの人格形成に大きな影響を与えた「憧れのヒーロー」であるシャララ隊長のことです。

 第13話の感想のYouTube Live配信(こちら)で描いていたこちらの図のとおりの感じになってきていると思います。↓

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 ソラさんにとっての「母的なるもの」・シャララ隊長のコピー的な「ヒーロー」像で、第1クール序盤のソラさんはかなり自己犠牲的に「苦行」のごとく頑張る感じだったのですが。

 ましろさんとの出会いをきっかけに、自己犠牲・苦行・孤独のような要素は手放し始める……というソラさんの変化が描かれていたのが第1クールでした。

 で、今回、「母的なるもの」・シャララ隊長は、本当自己犠牲的な感じで、スカイランドを救って自分自身は喪失してしまうという。

 いよいよ、ソラさんは「母的なるもの」・シャララ隊長と一旦別れて、次なる「冒険」へと出ないとならないという展開です。

 で、(ハート型のスカイジュエルのペンダントが示唆してるように)「冒険」の果てに、また「母的なるもの」とは何らかのかたちで「再会」するのが、それこそ「神話」的なフォーマットでもあるのですが。

 ソラさんはやはりシャララ隊長とは違う「ヒーロー」像でいくというかたち(昭和のトッププレイヤー尊敬してますけど、私は令和の働き方でいきますみたいなの)になるか、そうは言っても、やはり当初の「母的なるもの」には真実性のようなものがある(やっぱり昭和のトッププレイヤーすごいから力を借りようみたいなの)の方になるか、どっちかって感じで「再会」する感じなのかな、とプチ予想してみたりしてみます。


●「子的なるもの」・エルちゃんの謎

 一方、ソラさんにとっての(擬似的な)「子的なるもの」のポジションがエルちゃんですが、こちらは今回バッタモンダーさんの出してる条件(エルちゃんを差し出すか、スカイランド壊滅か選べ)から、スカイランドそのものと等価くらいの存在であることが示唆されています。

 この、「子(のポジション)」が強大な力を持っているっていうのが、「神話」的にはギリシャ神話のミノタウロスの神話とかなので、必ずしも、エルちゃんは「善なる力」だわーい、みたいな感じでもなさそうなのですよね。

 そのあたりが、前回のソラさんに突きつけられたこれからの命題、「正しいとは何なのか。ヒーローはずっと考え続けなければならない」に関わってきそうといいますか。

 ギリシャ神話ではミノス王の子どもがミノタウロスで、生まれた経緯は複雑です。その強大な力を持つミノタウロスを「迷宮」に隠しながらミノス王の国は成り立ってるのですが……

 なんか、スカイランドは、怪しいですからね(笑)


・ソラさんが子どもの頃に入った近づいてはいけないと言われていた森(今話でわざわざまた言及されている)
・大昔になんで魔物はスカイランドに攻めてきたのか
・プニバード族に対する「代償(空が飛べなくなる)」を伴う契約の存在
・スカイジュエルらしきものがOPのアンダーグ帝国に降りていくと思われる穴にも描かれている
・アンダーグ帝国(カバトンを始末しようとした時とか)もスカイランド(ベリィベリーの能力とか)も「雷」の力を使う


 「迷宮」感ありますよ。実は、ミノタウロス的な存在いました! 的な展開も、全然あるあるな仕込みにはなってきていると思います。

 僕は引き続き、日本神話のヒノカグツチの話とかがアーキタイプじゃないかと思っていて、エルちゃん、やはり何らかの意味での「強大な力を持って生まれてきた子」的なポジションだと思うのですよね。

 エルちゃん(強大な力)がいなくなれば世界は落ち着く、しかし、母はどんな存在であれ子を見捨てない(ソラさんが第1話からだいたいこの方向のことを言ってますね)、この相克がドラマを生むパワーになっていくと感じております。


●アリアドネとしてのましろさん

 そんな「迷宮」から、ギリシャ神話ではテセウスが「アリアドネの糸」をたどって出てくるのですが。

 僕的には、作中でのアリアドネポジションはましろさん説を推しています。

 第4話のソラさんの「ましろさんは、今のましろさんのままでいいんです」、今話ではましろさんも「何も変わらないし、何もなくならない」と言ったり、「変わらないこと」が強調されているましろさんですが。

 これが、物語的には「変化・成長」が大事なんだから、たとえばましろさんもこれから具体的な目標を見つけて変わっていく! という方向に行きそうなのかというと、僕はまだ分からないという感じです。

 というのも、アリアドネポジションだとすると、変わっていくという方向もさることながら、「みんなの帰ってくる場所になっている」というような要素の方が重要であろうと思われるから。

 今話で、ましろがエルちゃんに「私のこと忘れないでね」と言ってるのは、けっこう重要なセリフの気がしていて、ましろさんのエゴのようにも捉えられるかもですが、上述のようにエルちゃんにはけっこう壮大な運命が待ってるっぽいので、その運命レベルの「迷宮」の中で迷っても、私を(手がかりとして)忘れないでいてねというメタな台詞にも読めそうな気もするのです。

 そんな感じで、やはりというか、物語上はエルちゃんの重要度も大きいんだな! と改めて思ったりしている、第15話の視聴だったのでした〜。

 というわけで!

 先週の日曜日(5月7日)の、YouTube Liveでの「ひろプリと神話の話をするライブ配信」にお越し頂いた皆さま、本当にありがとうございました。

 先週配信の分は、アーカイブが残ってるので、タイミングが合った時によかったらどうぞです。

 まだ慣れない感じでやっておりますが、神話的に「境界」を越えるということについて。「境界の守護者」ポジションのベリィベリーの話を経由して、「境界」の向こう、冒険の領域で無意識の投影としてソラが再会するシャララ隊長とは……といった話をしたり、

 境界を越える→冒険→何かを持ち帰る…という物語の構造について、スタプリ、ヒープリ、トロプリ、デパプリ、ひろプリでのそれぞれのかたちについて……といった話をしました〜。

 気になる方は、タイミングが合った時に再生してみて頂けましたらと〜。

 ↓


『ひろがるスカイ!プリキュア(ひろプリ)』第14話の感想と神話のお話〜ベリィベリーという「境界の守護者」と対峙しソラ・ハレワタールの次の冒険がはじまる/YouTube Live(アーカイブ)


 配信中に描いた図はこちら↓

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 YouTubeチャンネルへのチャンネル登録もぜひよろしくです。ほぼほぼ徒手空拳で配信の世界に飛び込んでみたカタチですが、まずはチャンネル登録者30人を目指して努力していく所存です!


『プリキュアの感想と神話のお話』/YouTubeチャンネル


 毎週日曜日の20:00〜20:40分(時間が変わったので注意!)に、その日の朝放映分の『ひろプリ』の感想をネタバレでお話しつつ、神話の話も絡めていく! というYouTube Live配信を定期的にやっております。(ラスト10分は予備時間で、実質30分配信です)

 本日(5月14日:日)も配信URLは時間(20時00分)になったらTwitterに投稿しますので、試聴のタイミングはTwitterの方をチェックしておいて頂けたらと思います。文章だけじゃなく、話してる相羽さんに興味があるゾという方もお気軽にどうぞ。本日夜にお会いしましょう!

・Twitterもやっておりますので、フォローしてやって頂けたら喜びます〜。↓



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→前回:『ひろがるスカイ!プリキュア(ひろプリ)』第14話の感想〜ベリィベリーという「境界の守護者」と向き合い「正しいとは何なのか」を求めるソラ・ハレワタールの次の冒険がはじまるへ
→次回:『ひろがるスカイ!プリキュア(ひろプリ)』第16話の感想〜劇中劇表現をとおした心理の深掘りと、成人プリキュア聖あげは/キュアバタフライ物語の初動とへ
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