『ひろがるスカイ!プリキュア(公式サイト@東映/公式サイト@朝日放送)』第19話「あげはとツバサ、カラフルにアゲてこ!」の感想です。
ネタバレ注意です。
●あげはさんは「ゆるやか」な態度で、当初のソラさんの「一人で頑張る!」ルートを回避
まずは、聖あげはさんの「たよっちゃおうかな〜」という「ゆるやか」な態度です。
今話前半のあげはさんの頑張りすぎちゃうパートは、物語序盤のソラさんの一人で頑張りすぎちゃうパートの、もしや繰り返しが起こってしまうのか!? という流れが感じられるところです。
されど、ツバサ君の助力の申し出もありつつ、あげはさんは軽いノリで「たよっちゃおうかな〜」と軌道修正に成功。
同年代たちと距離をとってひたすら修行に打ち込み、物語がスタートしてからも「一人でやります!」みたいな態度をとっちゃったりもした、ソラさんにあった「こだわり」の強さは、すでに手放しているようなフェーズにいる人。それがあげはさん。
伊達に、成人プリキュアではありません。やりすぎたと思ったら軌道修正も早いし、頼れるところは頼った方がよいのも、心得ている。まあ、大人だし? 僕の心の中の全あげはさんのイメージがドヤ顔です。
「ゆるやか」な態度。「アゲ」てく陽気さ。これが、成人!
●あげはさんの「ゆるやか」な態度はツバサ君の「かたくなな対立」を解消していく
で、上述のあげはさんの「ゆるやか」な態度で、なんだか「こだわり」のようなものが薄れていって、二つの硬直して存在していたものが、混ざり合っても(ミックスしても)、ま、いっか〜みたいな雰囲気が生み出されていくのですが。
分かりやすいのは、今話は、ミックスパレットに象徴されるように、あげはさんのカラーとツバサ君のカラーがミックスされる話です。
ツバサ君、もはやデレデレだろ! とツッコミたくなりつつ、一応、当初はちょっと感性が反目(対立)する部分がある二人として、ツバサ君とあげはさんは描かれていました。それが、ま、いっか〜みたいなノリでミックスされていく。
ですが、それ以上にポイントになるのは、ツバサ君の内面で、「飛ぶ」という志向性と「芸術家」という志向性が、対立しないものへと変わっていく初動が今回は描かれていたことです。
ツバサ君は、ソラさんの「ヒーロー」と同じように「飛ぶ」ということに強い「こだわり」を持っているキャラクターなのですが。
その「こだわり」は、お父さんとの関係に由来しています。
あの日、命懸けで自分を守るために飛んで見せたお父さんに憧れて、ツバサ君は「飛ぶ」という夢を「こだわり」を持って追いかけています。
一方で、もう「飛ぶ」ような憧れの姿を見せることはなく、「芸術家」としてのほほんと生きてるお父さんに、ちょっと、ああ、あの日の憧れのお父さんはどこいったんだよ感を感じながら生きている人物としても描かれています。
と、これまでツバサ君の中で「飛ぶ」と「芸術家」は対立するものとしてあった感じなのですが。
今回、あげはさんの「ゆるやか」さが伝播して、「芸術家」、絵を描くのもなんだか楽しい自分に気づき直してみたりもします。
「自由に描いてみなよ」(聖あげは)
硬直していた少年の心の内側にあった「自由」な本来性を解放してあげるお姉さん。あげツバ、推せるッ!
ツバサ君の、「何だかのんびりになってしまった父との和解」の物語が始まってしまいました。
ソラさんの当初の「憧れのヒーロー」のように、人助けします! 頑張って! 頑張って! 頑張ります! みたいなシリアスな方向へいくのなら、「飛ぶ」ことを放棄するという代償を払って人間に変身できるようになったプニバード族のあり方はおかしい! スカイランドの闇! 俺は世界と戦う! 代償を無効化して「飛んで」みせる! みたいな方向にツバサ君は向かっていく感じになります。現に、これまでそういう雰囲気がちょっとあった。「飛ぶ」に「こだわり」を持って挑むツバサ君の態度は、ちょっとシリアス過ぎるというか、悲痛な印象もあったのでした。
でも、お父さんの、絵を描いてのんびり暮らしてる側面も、ま、いっか、ということになってくると、それはプニバード族の「飛べない」という属性をそこまで否定的にとらえずに、父の芸術家としての「ゆるやか」な部分と、ツバサ君は和解していくことになります。
その流れを象徴するように、ツバサ君とあげはさんの新技、ミックス必殺技の「タイタニックレインボー」は、勇壮な鳥の姿で「飛ぶ」シンボルと、「ゆるやか」に絵でも描いてるか〜みたいなプニバード族としてのシンボルが、両方ミックスされた技として描かれています。
ツバサ君は現時点では勇壮に「飛ぶ」方をまだカッコいいと捉えてるのですが、後半のプニバード族姿のゆるふわアタックも、「こだわり」を手放してる感じの良さがあるのですよね。
ソラさんにおける、OPのメイクで笑い合うパート相当。
シリアスに、「ヒーロー」道を「こだわり」を持って追いかけるのもイイかもしれないけれど、「硬直」してくるようなら、「ゆるやか」さも必要です。
同じように「飛ぶ」に「こだわり」すぎて「硬直」がちょっと入ってる感があったツバサ君に対して、あげはさんが働きかけて、「ゆるやか」プニバード族的芸術家の側面も、案外、「ま、いっか」なんじゃないの? という部分がツバサ君の内面の「自由」から生まれてくる。そんなお話だったと思ったのでした。
「日常」と「非日常」、「非日常」が起こった時に「飛ぶ」のは尊いことですが、かといってまったり絵を描いてる「日常」を否定的にとらえるというのも、また違う感じです。
ツバサ君の中で、未来に「飛ぶ」ルートに加えて「芸術家」ルートも出てくるような流れで、プリキュアシリーズ的にはずっと描いている、「日常」と「非日常」の和合(同時に成立するのかもみたいな話)の話が始まっているのが、イイ感じだな〜と思った、日曜日の朝の視聴だったのでした〜。
というわけで!
先週の日曜日(6月4日)の、YouTube Liveでの「ひろプリと神話の話をするライブ配信」にお越し頂いた皆さま、本当にありがとうございました。
先週配信の分は、アーカイブが残ってるので、タイミングが合った時によかったらどうぞです。
理想と現実の境界領域としてのプリキュア。自分自身を創造していくためのコントラストとなるので、メタには『ぼくプリ』や『オトナプリキュア』とコントラストが豊かになっていくのは基本的にはよいことといった話をしたり、
聖あげはさんは、モチベーション出して頑張るぞ! という方向というよりは、インスピレーションで「このタイミングか」くらいの軽やかな感じでキュアバタフライに変身してたのがよかった……といったお話などをしました〜。
気になる方は、タイミングが合った時に再生してみて頂けましたらと〜。
↓
●『ひろがるスカイ!プリキュア(ひろプリ)』第18話の感想と神話のお話〜憧れの自分を作り上げる素材となるコントラストとしてのプリキュア像/YouTube Live(アーカイブ)
配信中に描いた図はこちら↓
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●『プリキュアの感想と神話のお話』/YouTubeチャンネル
毎週日曜日の20:00〜20:40分(時間が変わったので注意!)に、その日の朝放映分の『ひろプリ』の感想をネタバレでお話しつつ、神話の話も絡めていく! というYouTube Live配信を定期的にやっております。(ラスト10分は予備時間で、実質30分配信です)
本日(6月11日:日)も配信URLは時間(20時00分)になったらTwitterに投稿しますので、試聴のタイミングはTwitterの方をチェックしておいて頂けたらと思います。文章だけじゃなく、話してる相羽さんに興味があるゾという方もお気軽にどうぞ。本日夜にお会いしましょう!
・Twitterもやっておりますので、フォローしてやって頂けたら喜びます〜。↓
『ひろがるスカイ!プリキュア』第1話の感想〜大人になったら末法の世になってたが、子供の頃のマクシム(自分との約束)を胸に虚構のヒーローが現実でもう一度立ち上がる - 少女創作ファンブログ―The Girlls Fiction Fan Blog(GFFB) https://t.co/XbNf8vYMQr …ブログ更新です。 #ひろプリ #precure
— 寂しいシロクマ(相羽裕司)/仙台市太白区 (@sabishirokuma) February 5, 2023
→プリコーデドール、キュアバタフライ
→ミックスパレット
→前回:『ひろがるスカイ!プリキュア(ひろプリ)』第18話の感想〜苦行的なプリキュア観からの解放と、本来自由で楽しい社会人とへ
→次回:『ひろがるスカイ!プリキュア(ひろプリ)』第20話の感想〜虹ヶ丘ましろさんの『ブランコ』のようなエゴで自分の価値を証明しなくてもよい「天球」の原初世界についてへ
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