相羽です。

 『ひろがるスカイ!プリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』第21話「ひろがれ!知識の翼」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

●プリキュアに変身する人間個人の求道がかけ合わさって新たな景色が見える

 作中にずっとあった、

 ツバサ君は、プリキュアの力で「飛ぶ」を叶えてそれでいいのか問題。

 ソラさんは、プリキュアの力で「ヒーロー」になってそれでいいのか問題。

 プリキュアの力はそれはそれとして、それに変身する人間個人の求道してきたもの、努力、パーソナリティーやフレーバーがかけ合わさると、さらに予想してなかったような素晴らしい景色が見えるかも、という一つの方向性が示された回と言えそうです。

 細部はともかく、あの遥か上空の美しい景色は、プリキュア、キュアウィングの飛行能力だけでは見ることが出来ず、夕凪ツバサ君が努力して勉強していた航空力学の力(上昇気流を読むなど)が加わって、初めて見ることができた新たな領域だ、という描き方になっています。

 よい意味で「プリキュア」自体の凄さの比重は弱まって、変身する人間の生き方の要因が、素晴らしい未来に向かうにあたっては大事なものとなってきてる印象です。

 しかも、ヨヨさんの、種を蒔いて育てる過程で、いつ花開くか、どんな花が開くは分からない……という趣旨のお話からすると、

 ツバサ君に関しては、


・父の「飛ぶ」姿への憧れを追い続けて「飛ぶ」関係の未来の自分になる
・父の「飛ぶ」姿だけへの憧れは手放して、芸術家としての父も受容して、芸術関係の未来の自分になる(第19話であげはさんにエスコートされて前向きに絵を描いている)


 という、父のどの側面の受容かという選択肢以外に、現時点では思いもかけない未来に進む可能性も高まってきてる感じでしょうか。


●ソラさんも当初の呪いじみた「ヒーロー」への求道も最後は統合されそう

 ツバサ君とソラさんは並行描写のキャラクターとなっています(ツバサ君は「飛ぶ」に、ソラさんは「ヒーロー」に憧れ、同時にある意味囚われている似たもの同士)。

 ツバサ君がプリキュアの「飛ぶ」と当初追求していて(そして途中で手放し気味になった)航空力学がかけ合わさって新たな景色を見始めたように、ソラさんも、第1クールの物語で呪いめいた当初の「ヒーロー」への求道(友人たちとの交流も絶って追求してたとか)はだいぶゆるやかになってきてたのですが、改めて、とは言ってもそのような当初の無茶苦茶な「ヒーロー」目指した頑張りも、後々意味を持ってくる……となってきそうな気がしてきました。

 プリキュアの力は力として、ソラさん、それに当初鍛えていたフィジカルの強さとかがかけ合わさった新たな何かとかを創造するのだろうか。

 まさかの、「スカイランド神拳」(おそらく滅茶滅茶な「ヒーロー」求道時代に身につけていたもの)が意味を持ってきそうな展開。

「スカイランド神拳」、『北斗の拳』に例えると(え)、まだラオウ的な技(剛の技)しか見せてないので、トキ的な技(柔の技)があるような気がしてるのですよね。

 プリキュアの力だけでは、この景色は見ることが出来ませんでした。スカイランド神拳・奥義・何とか! みたいな展開。観たいような気はちょっとするゾ!


●まだ決め打ちで「こだわり」を持つというより、色々やってみてよい

 前回の感想(こちら)でも書いた話ですが、土台には、


 「自分の価値を証明しようとして」頑張って頑張って頑張らなくても、「こだわり」なくみんなで虹を見ることはできる。


 みたいな話があります。

 もし世界が、めっちゃ競争世界で限られたリソースを奪うために、何とか自分の価値を証明しなくてはならないゲームだったら、自分は、その限られたリソースを得るにたる存在だと、頑張って頑張って自分の価値を証明しなくちゃならない……というのだったら、

 子供の頃から、一つの「こだわり」に決め打ちして、競争で勝者を目指す(価値の証明を目指す)、というのもある程度分かります。初期からの決め打ち、一つのジャンルへの特化は、競争で勝つにはある程度まで有効だから。

 ただ、今の世界はもうそういう感じではないから。

 ヨヨさんが示した「つながって ひろがる」世界のように、万物万象関係し合っているんだから、その一部に子供の頃の初期から「こだわり」を持って決め打ちするというのが、「幸福」になるのに良さそうかっていうと、だいぶ微妙です。

 特に、なんかもう、本人の心が違和感とか感じてるのに、競争に勝つために、まだこの一つの「こだわり」を決め打ちで続けなきゃ! みたいになってくると、色々苦しくなってきたりします。そういう状態は、えてして結果も出ない感じです。

 そういうのよりは、自分の心にしっくりくるものを色々やってみて、後に全部がつながってくるのを期待する。ヨヨさんのいうところの、予想もしてなかったような素晴らしい花が咲くのをワクワクと待つ。そういう感じでイイんじゃないかと思います。

 そう、「らそ山」です!

 また、どんだけ「らそ山」のエピソード(第11話:感想)好きなんだって言われそうですが、あれも、色んなルートで登っていいよ(色々やっていいよ)、スピードとか、タイミングとか、それぞれ違ってるけど、最終的に頂上付近で全部統合されるから、っていうシンボル的なお話ですよ。

 だから、当初の「こだわり」から離れることを、過度に恐れなくてもよい。また、最初の「こだわり」が生きてきたり(今話のツバサ君における航空力学)、そうでもなかったりとかだけど、自分のハートを裏切らずに心得違いしないで進んでいれば、どうせ頂上付近で統合されて、素晴らしい景色は見られるから。だったら、道中の楽しさとかもだいぶ大事。

 ということを考えたりした、日本語教師とか言語学とか色々やってきて、最近は文章とかYouTube Live配信とかやりつつ、頂上に向かって道の途中をテクテク歩いてる感じの、この文章を書いてる僕の日曜日朝の視聴だったのでした〜。

 というわけで!

 先週の日曜日(6月18日)の、YouTube Liveでの「ひろプリと神話の話をするライブ配信」にお越し頂いた皆さま、本当にありがとうございました。

 先週配信の分は、アーカイブが残ってるので、タイミングが合った時によかったらどうぞです。

「楽しい」で描くましろさんは特に競争の中で自分の価値を証明しようとしてないあたりが、カバトンさんやアンダーグ帝国と対照になってる…といった話をしたり、

 ましろさんの「ブランコ」にならって僕(相羽)が「優しい」雰囲気の絵を描くのを試みるというまったり雑談コーナーをしたり(笑)。「ブランコ」は神話的要素で作中の「天球」のレイヤーと関係している? 説の話などもしたりしました〜。

 気になる方は、タイミングが合った時に再生してみて頂けましたらと〜。

 ↓


『ひろがるスカイ!プリキュア(ひろプリ)』第20話の感想と神話のお話〜虹ヶ丘ましろさんにならって、優しい感じの絵を描いてみよう(雑談多め)/YouTube Live(アーカイブ)


 配信中に描いた図はこちら↓

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 YouTubeチャンネルへのチャンネル登録もぜひよろしくです。ほぼほぼ徒手空拳で配信の世界に飛び込んでみたカタチですが、まずはチャンネル登録者30人を目指して努力していく所存です!


『プリキュアの感想と神話のお話』/YouTubeチャンネル


 毎週日曜日の20:00〜20:40分(時間が変わったので注意!)に、その日の朝放映分の『ひろプリ』の感想をネタバレでお話しつつ、神話の話も絡めていく! というYouTube Live配信を定期的にやっております。(ラスト10分は予備時間で、実質30分配信です)

 本日(6月25日:日)も配信URLは時間(20時00分)になったらTwitterに投稿しますので、試聴のタイミングはTwitterの方をチェックしておいて頂けたらと思います。文章だけじゃなく、話してる相羽さんに興味があるゾという方もお気軽にどうぞ。本日夜にお会いしましょう!

・Twitterもやっておりますので、フォローしてやって頂けたら喜びます〜。↓



→プリコーデドール、キュアバタフライ



→ミックスパレット



→前回:『ひろがるスカイ!プリキュア(ひろプリ)』第20話の感想〜虹ヶ丘ましろさんの『ブランコ』のようなエゴで自分の価値を証明しなくてもよい「天球」の原初世界についてへ
→次回:『ひろがるスカイ!プリキュア(ひろプリ)』第22話の感想〜「迷宮」の奥のミノタウロスとしてのシャララ隊長と怪物を殺さない神話的な方法へ
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