相羽です。

 今回は『ひろがるスカイ!プリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』の素朴なコラムです。
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『ひろがるスカイ!プリキュア』という作品では、主人公のソラ・ハレワタールさんが、当初一人でストイックに「ヒーロー」を目指していたところから、ましろさんとの出会いをきっかけに一人から「二人」に。やがて「二人」からさらに〜と世界をひろげていく物語という側面があります。


 「友との出会いが世界を広げ、新たな自分に出会わせてくれる。そうだろ?」(シャララ隊長/第24話)


 これまでの物語でこの流れの重要話をあげると、ソラさんを中心にプリキュアたちは第5話で一人から「二人」に、第24話で二人から「家族」になっている(そのような関係であると示唆される)……と描かれています。

 ましろさんがソラさんに、「あなたが心配だよ。助けたいよ。気持ちは同じ。 それって、一緒に戦う理由にならないかな?」という第5話「手と手をつないで!私たちの新しい技!(感想)」は本編でも何回も回想的に使われていますし(第33話では同じ台詞がキュアマジェスティ/エルちゃんからましろさんにかえってくるという重要な表現もなされました)、例年その年のTVシリーズ本編のテーマの圧縮になってる秋映画『映画プリキュアオールスターズF』でも使われていたので、最重要話と言って間違いないですが。

 上記の流れは、一人から始まったソラさんが「繋がり」を拡張していく物語……と捉えられるわけですが、ソラさん、ましろさん、ツバサ君、あげはさん、エルちゃん、(そしてヨヨさん)ら「ましろ」邸の「繋がり」のかたちが「家族」であると明示される第24話「輝く一番星☆エルちゃんの秘密」も、最重要話です。

 自分が元いたところとは違う世界、「スカイランド」での何気ない瞬間に、自分たちが「家族」なのかもしれないと、ましろさんがハッと気づくシーンは感動的です。


 「家族…わたしたちが」(虹ヶ丘ましろ/第24話)


 その第24話ラストのましろさんのまとめの台詞はこちら。


 「同じ空の下。キセキみたいな出会いでも。運命で繋がって。わたしたち、家族みたいに同じ時を過ごしてる。それが今は、すごく嬉しい」(虹ヶ丘ましろ/第24話)


 血の繋がりがある我々が従来的にイメージする「家族」ではないので、一種の「擬似家族」ということになると思うのですが。

 「擬似」というか。ましろさんの語りには「運命」というちょっと超常世界の縁のようなものを指す言葉も入ってますし、魂レベルの「家族」みたいな感じなのかと思っております。

 一人だったソラさんから始まって、繋がりが拡張(「ひろがる」)されていくに連れて、ソラさんをはじめプリキュアたちが抱えていた無価値感、自己犠牲感などが癒えていく……という作劇なわけですが。

「家族」という「繋がり」のかたちに、何か自分自身の無価値感を癒す無償の優しさのようなものを感じるのは、直感的には分かるという視聴者も多いのではないかと思います。

 また。本作は20周年作品の文脈で「プリキュア」という呼称も「繋がり」の一つのかたちの呼び方と描いているふしがあります。

 一人から「二人」へ、「二人」から「家族」へ、「家族」から「プリキュア」へ。

 それぞれはお互いに関係し合いながら、独自の美しい「繋がり」のかたちを、曼荼羅(マンダラ)模様のように描き出していきます。

『映画プリキュアオールスターズF』でどうしてプリキュアたちが復活できたのかは、そんなにも劇中で明示的には描いていないと思うのですが、個人的にはシュプリームは初戦で物理的なプリキュアは倒せたんだけど、深層(世界)の方の「プリキュア」という「繋がり」の方を切れなかったから、「繋がり」を辿って復活……みたいなニュアンスなのかなと思っております。

 さて、『ひろプリ』本編の今後、後半〜終盤は?

 上記の第24話でましろさんが、


 「みんなと出会えたことも。このキセキがずっと続けばイイな」(虹ヶ丘ましろ/第24話)


 ともろに(キセキがずっとは続かないという)フラグを立ててますので。

 この「二人」、「家族」、「プリキュア」という「繋がり」のかたちに、危機、試練が訪れるものと思われます(個人的な予想では、前回の記事で書いたようにエルちゃん/マジェスティ関係)(また、「プリキュア」という「繋がり」、特に「パートナー」との「繋がり」に 危機が訪れるのは、『映画プリキュアオールスターズF』の展開にも合致します)。

 試練が訪れ、それを乗り越え再生され、「繋がり」のかたちは強くなり、関係は何らかの意味で深まり。

 次の十年に向けて彩(いろどり)が加わわっていく。

 最高に盛り上がりそうで、『ひろがるスカイ!プリキュア』の後半〜終盤をとても楽しみにしているのでした。

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→前回:男子プリキュア・キュアウィング/夕凪ツバサ君の自身の本来性と和解し自由の土台と再会するという物語
→前回:『ひろがるスカイ!プリキュア』第36話の感想〜どこか自分自身への無価値感がきっかけだったキャラクターたちが少しずつ自由になって他者へと開かれていくへ
→次回:「ましろさんは、今のましろさんのままでイイんです」〜無条件の自分をゆるせるかというソラ・ハレワタールとカイゼリン・アンダーグのお話
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